「これは本当に自分のスキルと言えるのか?」
Reddit で話題になった、ある科学者の投稿があります。
彼は Python や C、Fortran で複雑な計算処理を書いてきました。
そして、JavaScript を学び始めたばかりでした。
しかし、その学習を続ける代わりに、Claude Code を使って Flutter アプリを完成させてしまったのです。
Dart 言語の知識もほぼゼロの状態で。
この感覚は、多くのエンジニアが経験しているものです。
歴史は繰り返す:Google 時代の罪悪感
興味深いことに、20年以上のキャリアを持つベテランエンジニアたちも同じような感情を抱いていました。
それは、インターネットと Google が登場した当時のことです。
先輩エンジニアたちは全てを暗記していました。
紙とペンでコードを書けるのが当たり前。
そんな中で、Google で答えを検索することは「ズル」のように感じられたのです。
ある開発者の証言があります。
職場で Google を使って問題を解決することを隠していました。 企業によっては Google の使用を禁止していたところもあったんです
Java の標準ライブラリの関数パラメータを覚えていない。
そう言えば、面接で即座に不合格でした。
サーバーエラーの意味を Google で調べる。
そんなことは、考えもしませんでした。
今では?
インターネットなしの開発なんて想像できません。
AI がもたらす生産性革命
「10倍の生産性向上、デメリットはゼロ」
これは大げさな表現ではありません。
実際に AI を活用している開発者たちの実感です。
20年の経験を持つある開発者は、こう語ります。
もし面接で Claude Code を使えないと言われたら、その場を去ります。 馬車で配達しろと言われる配達員のようなものですから
実際の事例として、以下のようなプロジェクトが報告されています:
- 電話録音の文字起こしと感情分析システム(Python Flask)- 約4日
- 請求書の自動処理と ERP 連携システム(Python FastAPI + React + Flutter)- 約8日
従来の AI アシスト開発と比べて、Claude Code は開発速度を飛躍的に向上させています。
批判的思考の重要性は変わらない
しかし、全てを AI に任せればいいわけではありません。
AI が生成したコードが最も効率的でしょうか?
正しく動作しているでしょうか?
これらを判断するのは、依然として人間の役割です。
ある開発者はこう指摘します。
AI を使うことで生産性は上がります。 でも、なぜそのコードが動くのか理解していなければ、問題が起きた時に対処できません
プロジェクト全体を見渡す能力。
AI の提案を批判的に評価する能力。
これらがなければ、AI は単なる「コードを吐き出すマシン」に過ぎません。
ジュニア開発者への影響
「基礎を学ばずに AI に頼る開発者が増えたら、どうなるのか」
この懸念は確かに存在します。
AI が行き詰まった時、基礎知識なしに問題を解決できるでしょうか?
一方で、別の視点もあります。
ジュニアが数ヶ月でシニアレベルの生産性を発揮できる。
アイデアが素早く製品になる。
これは技術の民主化とも言えるでしょう。
重要なのはバランスです。
AI を活用しながらも、基礎を理解する努力を怠らないこと。
新しいスキルセットの定義
今後のエンジニアに求められるスキルは変化しています。
従来重視されたスキル:
- 特定言語の文法を暗記する
- アルゴリズムを一から実装する
- ライブラリの使い方を覚える
新時代に重要なスキル:
- 適切な質問を投げかける能力
- AI の出力を評価・修正する能力
- システム全体を設計する能力
- 問題を分解し、段階的に解決する能力
コーディング能力そのものより、「何を作るべきか」を判断する能力が重視される時代になりつつあります。
罪悪感から解放されるために
Reddit の投稿者は自嘲的にこう書いています。
履歴書に何て書けばいいんだ? 『元コーダー、今はただ vibes するだけ』?
でも考えてみてください。
電卓を使う数学者は「ズル」をしているでしょうか?
CAD を使う建築家は「本物」ではないのでしょうか?
AI は道具です。
その道具を使いこなし、より高いレベルの問題解決に集中する。
これがエンジニアリングの進化です。
実践的なアプローチ
罪悪感を感じながらも、AI を効果的に活用する方法があります。
ステップ1:生成されたコードを理解する
Claude に「このコードを説明してください」と聞く。
詳細な解説が得られます。
ステップ2:小さな修正は自分で行う
AI が作った基盤の上に、自分の理解を積み重ねていく。
ステップ3:アーキテクチャは自分で設計する
AI はあくまで実装の補助。
全体設計は人間が行います。
まとめ
AI によるコーディングに罪悪感を感じるのは自然なことです。
歴史を振り返れば、新しい技術への抵抗感は常に存在してきました。
重要なのは、AI を「ズル」ではなく「進化」として捉えること。
基礎知識の重要性を忘れず、批判的思考を維持する。
そして、生産性の向上を享受する。
数年後、AI なしでコーディングすることが「昔はそんなことしてたんだ」と言われる時代が来るでしょう。
その時代に向けて、今から準備を始める必要があります。
技術の進歩を恐れるのではなく、それを味方につける。
これが、新時代のエンジニアリングの姿なのです。