富士通とマイクロソフトが、真逆の戦略を打ち出しました。
富士通は2025年までにコンサルタント人材を5倍の1万人に増員する計画です。
一方のマイクロソフトは、コンサルティング部門での採用を停止します。
そして、AIの開発に800億ドルを投資する方針を示しています。
岐路に立つコンサルティング業界
コンサルティング業界は、大きな構造変化の中にあります。
2024年の業界倒産件数は154件となり、過去最多を更新しました。
特に苦戦しているのは、一般的なビジネスアドバイスを提供する中小規模の企業になります。
倒産企業の特徴は明確です。
- 資本金1億円未満が98.7%
- 従業員5名以下が92.8%
AIが変える業界地図
人工知能(AI)技術の進歩は、目覚ましいものがあります。
もはや、多くのコンサルティング業務がAIで代替可能になってきています。
例えば、以下のような業務です。
- データ分析
- レポート作成
- 業界動向分析
- ベンチマーク比較
マイクロソフトの選択
マイクロソフトの戦略は明確です。
同社は、企業向けAIプラットフォームの開発に全力を注ぎます。
コンサル部門の採用停止は、この戦略の一環といえます。
マイクロソフトの狙いは以下の点にあります。
- AIプラットフォーマーとしての地位確立
- 企業のデジタル変革支援
- AIを通じた新しい価値提供モデルの構築
富士通の挑戦
富士通は、コンサル人材の大幅増員という異なる道を選びました。
その内訳は以下の通りです。
- 社内人材のリスキル:6000人
- 外部採用:3000人
- M&Aによる獲得:1000人以上
しかし、この戦略には大きな課題があります。
なぜなら、コンサル業界では既に二極化が進んでいるためです。
マッキンゼーなどの戦略系ファームは、依然として強い需要があります。
しかし、一般的なコンサルティングサービスの価値は、急速に低下しています。
専門性による選別
これからのコンサル業界で生き残るには、専門性が不可欠です。
特に以下の分野で、深い知識と実績が求められています。
- DX支援
- M&A
- 事業再生
コロナ禍以降、企業の要求は厳しくなりました。
- 時間的余裕の減少
- 資金的制約の増加
- リスク許容度の低下
そのため、即効性のある解決策が求められています。
実践的な経験や専門的知識のないコンサルタントは、市場から退出を余儀なくされています。
二つの未来像
両社の対照的な選択は、コンサルティング業界の二つの未来を示唆しています。
マイクロソフトの描く未来
- AIプラットフォームによる企業支援
- テクノロジーを通じた価値提供
- 従来型コンサルティングからの脱却
富士通の描く未来
- 人的専門性の強化
- コンサルティング機能の拡充
- テクノロジーと人材の融合
結論
この業界は、大きな転換点を迎えています。
AIの進化は、従来型のコンサルティングの価値を低下させるでしょう。
しかし、高度な専門性を持つコンサルタントへの需要は、むしろ高まる可能性があります。
二社の選択の成否は、まだ見えません。
おそらく、この選択は間違いなく、業界の将来を占う試金石となるでしょう。