コードが動く。
テストが通る。
タスクが完了した。
ジュニア開発者のあなたは満足感に浸っているかもしれません。
でも、シニア開発者は違う視点であなたのコードを見ています。
最近、海外の開発者コミュニティで興味深い議論を見つけました。
シニアJava開発者たちが、ジュニア開発者に不足していると感じる要素について語り合っていたのです。
その内容は、私にとっても新鮮な気づきをもたらしてくれました。
今回は、その議論から見えてきた重要なポイントを共有します。
スピードよりも品質を重視する理由
「早く解決できれば評価される」
多くのジュニア開発者がこう考えます。
気持ちはわかります。
成果を早く出したい。
認められたい。
そんな焦りが生まれるのは自然なことです。
しかし、ベテラン開発者たちは口を揃えてこう言います。
「質の高い仕事はゆっくりと進む」と。
なぜでしょうか。
速さを追求すると、次のような問題が発生します。
まず、コードの構造が雑になる。
そして、エラー処理が不十分になる。
さらに、将来の変更に対応しにくいコードになってしまう。
あるシニア開発者の言葉が印象的でした。
「コードを書く前に、問題を理解する時間を取れ」。
これは「Measure Twice, Cut Once(二度測って一度切る)」という考え方です。
大工が木材を切る前に何度も寸法を確認するように、開発者も実装前に十分な検討が必要なのです。
データベースの理解が意外と重要
Java開発者なのに、なぜデータベースの話が出てくるのか。
疑問に思うかもしれません。
実は、多くのシニア開発者が「データベースの基礎知識不足」を最も深刻な問題として挙げていました。
特にORM(Object-Relational Mapping)に頼りすぎることの弊害が指摘されています。
具体的にはどういうことでしょうか。
HibernateやJPAといったORMツールは便利です。
SQLを書かなくてもデータベース操作ができる。
でも、その便利さが落とし穴になることがあります。
N+1問題を知っていますか。
これは、1つのクエリで取得できるデータを、N+1回のクエリで取得してしまう問題です。
開発環境では問題なく動いても、本番環境で大量のデータを扱うと、パフォーマンスが劇的に低下します。
あるエンジニアは、500万件のレコードがあるテーブルから全データを取得し、Javaのコードで必要なデータをフィルタリングしていました。
開発環境では問題ありませんでした。
でも本番環境では…想像できますよね。
データベースに仕事をさせる。
これが重要なポイントです。
SQLでフィルタリングし、必要なデータだけを取得する。
インデックスを適切に設定する。
こうした基本的な知識が、実は非常に重要なのです。
リファクタリングという投資
「動いているコードをなぜ変更するの?」
ジュニア開発者にとって、リファクタリングは理解しがたい概念かもしれません。
動いているものを触ってバグを作り込むリスクもある。
それなのに、なぜわざわざコードを書き直すのか。
答えはシンプルです。
将来の自分と仲間への投資だからです。
コードは一度書いて終わりではありません。
読まれる回数の方が圧倒的に多い。
バグ修正、機能追加、仕様変更。
様々な理由でコードは読み返されます。
読みやすいコードは、理解が早い。
修正が簡単。
バグが見つけやすい。
結果的に、開発スピードが向上するのです。
デバッグ能力を磨く方法
興味深いことに、デバッグ能力の不足はジュニアだけでなく、シニア開発者にも見られる問題だそうです。
効果的なデバッグには、次のアプローチが重要です。
まず、問題を段階的に切り分ける。
「ここまでは正しい」「ここから結果がおかしい」という境界線を見つける。
これが基本です。
次に、自分のコードを疑う謙虚さを持つ。
「私のコードは正しいはずだから、問題は他にある」という思い込みは危険です。
45年のキャリアを持つベテラン開発者でさえ、自分のお気に入りのコードにバグを見つけることがあるそうです。
そして、適切なツールを使う。
デバッガーは強力なツールです。
でも、すべての状況で最適とは限りません。
時にはログ出力の方が効率的な場合もあります。
状況に応じて使い分けることが大切です。
技術以外の重要な要素
コードを書くことは手段であって目的ではない。
この認識が、ジュニアとシニアを分ける大きな違いの一つです。
私たちの仕事は、ユーザーの問題を解決することです。
最新の技術を使うことでも、複雑なアルゴリズムを実装することでもありません。
ビジネスドメインの理解も重要です。
医療システムを開発するなら医療の基礎知識を。
教育システムなら教育現場の実情を。
こうした知識があると、より適切な解決策を提案できます。
既存の資産を活用する知恵
「車輪の再発明をするな」
プログラミングの世界でよく言われる格言です。
でも、なぜジュニア開発者は既存のライブラリを使わずに、自分で実装しようとするのでしょうか。
理由の一つは、技術面接の影響かもしれません。
面接では「ライブラリを使わずに実装してください」という課題がよく出されます。
この経験が、実務でも同じアプローチを取らせてしまうのです。
もう一つは、若い情熱と自信です。
「既存のライブラリよりも良いものを作れる」という思い。
この情熱自体は素晴らしい。
でも、実務では別の視点が必要です。
バトルテストされたライブラリは、何年もの間、多くのプロジェクトで使われ、バグが修正され、最適化されています。
これを一から作り直すのは、時間の無駄になることが多いのです。
ただし、盲目的にライブラリを使うのも危険です。
セキュリティの問題、メンテナンスの状況、依存関係の複雑さ。
これらを確認してから採用を決める。
これがプロフェッショナルのアプローチです。
まとめ
ジュニアからシニアへの道のりは、単に技術を学ぶだけではありません。
視野を広げ、深く考え、長期的な視点を持つことが重要です。
スピードよりも品質を。
動くコードよりも保守しやすいコードを。
新しい実装よりも既存の資産の活用を。
これらは矛盾しているように見えるかもしれません。
でも、経験を積むにつれて、バランスの取り方がわかってきます。
最後に、ある開発者の言葉を紹介します。
「経験は唯一の教師だ。でも、他人の経験から学ぶことで、その道のりを短縮できる」
今回共有した内容が、あなたの成長の一助となることを願っています。
完璧を求めすぎず、一歩ずつ前進していきましょう。