生成AIの発展は、ソフトウェア開発の在り方を大きく変えようとしています。
そして、その効果は単なる効率化だけではありません。
開発されるコードの品質も向上していることが、最新の研究で明らかになっています。
生成AIがもたらす品質向上
GitHubの最新の研究は、興味深い結果を示しています。
202名の開発者による実証実験では、GitHub Copilotを使用したグループが優れた成果を上げました。
全10個のテストへの合格率は、56%も高くなったのです。
コードの品質は、複数の観点から向上が確認されています。
エラーの発生率は低下し、1エラーあたりの平均コード行数は18.2行となりました。
これは非使用時の16.0行を上回ります。
結果として、コードの品質は13.6%向上しています。
専門家によるブラインドレビューでも、高い評価が得られました。
読みやすさは3.62%、信頼性は2.94%、保守性は2.47%、そして簡潔さは4.16%の向上が見られています。
これらは、すべて統計的に有意な差です。
NTTデータの実践的アプローチ
このような効果を実務に活かす取り組みが、すでに始まっています。
NTTデータグループは、ソフトウェア開発の生産性向上に向けた野心的な目標を掲げています。
2025年度までに30%、2027年度までに50%の生産性向上を目指しています。
同社の生成AI活用は、すでに大きな成果を上げています。
設計情報からのソースコード生成やテストコード生成など、250件を超える活用事例があります。
そして、これらの実績を基に独自のツール群を開発しました。
GitHub活用の効果
2024年10月、NTTデータはGitHubとの業務提携を実現しました。
この提携により、セキュアな開発環境の実現とAI活用人材の育成を進めています。
実際の効果も表れています。
GitHub Copilotを活用したプロジェクトでは、約6割のケースで生産性が向上しました。
平均で16%の生産性向上が達成され、開発者の約3割が1日あたり1時間以上の時間削減を実現しています。
開発プロセスの変革
生成AIの活用は、開発プロセス自体も変えつつあります。
従来の工程ごとの作業を、AIが一貫して担う新しいアプローチが検討されています。
また、「SmartAgent」と呼ばれる新しい開発支援システムの導入も進められています。
効率と品質の両立が、ここでも重要なポイントとなっています。
コミット数と全体のコード行数は増える一方で、1コミットあたりの平均サイズは小さくなる傾向が見られます。
これにより、開発者はより細かな品質管理に時間を使えるようになっています。
ビジネスモデルの進化
このような変革は、ソフトウェア開発のビジネスモデルにも影響を与えています。
従来の人月ベースの見積もりは、その有効性を失いつつあります。
そして、より本質的な価値提供が求められるようになっています。
まとめ
生成AIは、ソフトウェア開発における品質と生産性の両立を可能にしています。
研究結果は、その効果を明確に示しています。
そして、実務での活用も着実に進んでいます。
今後、この流れはさらに加速するでしょう。
開発者は、AIの支援を受けながら、より創造的な作業に集中できるようになります。
そして、より高品質なソフトウェアを、効率的に開発できる時代が訪れようとしています。