桐原書店は、ChatGPT連携型の英語エッセイ採点システムを発表しました。
この新しいサービスは、教育現場に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
しかし、このニュースは私たちに大切な問いを投げかけています。
それは、AI時代における教育評価の本質とは何か、という問いです。
AIによる採点システムの実績
「桐原AIエッセイライティング」は、2022年10月のサービス開始以来、着実に実績を積み重ねてきました。
延べ受験者数は約6.8万人に達します。
そして、採点された答案は約29万件を数えます。
11月1日に始まったChatGPT連携サービスでは、新たな機能が追加されました。
システムは文法チェックだけでなく、文章の論理性も評価できます。
さらに、主題との関連性まで判断できるようになりました。
このシステムには二つの大きな目的があります。
一つは教師の負担軽減です。
もう一つは生徒の学習効率向上です。
夜遅くまで答案を採点する教師の姿を考えれば、その意義は明らかです。
また、生徒は即座にフィードバックを得られます。
これにより、学習意欲の向上も期待できます。
点数評価の意味を問い直す
しかし、ここで立ち止まって考える必要があります。
AI技術は急速な進歩を遂げています。
そんな時代に、なぜ点数を競い合う必要があるのでしょうか。
従来の点数評価には、明確な目的がありました。
それは知識の蓄積量を測ることです。
また、標準的な解法の習得度を確認することでした。
ところが、時代は大きく変わりました。
スマートフォンがあれば、世界中の情報に瞬時にアクセスできます。
AIは高度な言語処理を行えます。
このような時代に、従来の評価基準は適していないのかもしれません。
本来の学びを考える
教育の本質的な目的は明確です。
それは、変化の激しい社会を生き抜く力を育むことです。
では、具体的にはどのような力が必要でしょうか。
まず、情報を批判的に検討できる力です。
AIが生成した情報でも、その妥当性を吟味できる必要があります。
次に重要なのは、創造的な思考力です。
AIは既存のデータに基づいて処理を行います。
しかし、革新的なアイデアは人間の想像力から生まれます。
新しい評価の可能性
桐原書店のシステムは、確かに画期的です。
しかし、このシステムの可能性は、従来型の点数評価にとどまりません。
例えば、採点結果を学習者の思考プロセスを理解するために活用できます。
また、個々の強みを見出すための手がかりとしても使えます。
AIとの対話を通じて、自身の考えを深める機会にもなるでしょう。
未来への展望
AI時代の教育評価は、新しい方向に進む必要があります。
単純な序列付けを超えて、一人ひとりの可能性を引き出すものへと変わるべきです。
点数という物差しにも、確かに意味はあります。
しかし、それは人間の可能性の一側面を測るに過ぎません。
AIの発展は、私たちに教育の本質を考え直す機会を与えているのです。
