AIツールの適切な活用は、開発プロセスの効率化に不可欠です。
本記事は、Anthropicの「Claude Code: Best practices for agentic coding」ガイドを参考にしています。
Claude UIとClaude Codeの両方で活用できるエージェンティックAI活用法をまとめました。
Anthropicの「Claude」は単なる質問応答ツールを超えています。
ユーザーの目的や文脈を理解して能動的に支援するエージェンティックAIとして活躍できるのです。
以下では、Claudeをより効果的に活用するためのベストプラクティスを解説します。
AIとの協働基盤を作る
Claudeを最大限に活用するには、適切なガイダンスの提供が第一歩です。
コード開発では「CLAUDE.md」ファイルの活用が効果的です。
この考え方は通常の会話でも応用できます。
CLAUDE.mdファイルの活用
コード開発では、プロジェクトのルートディレクトリにCLAUDE.mdファイルを配置しましょう。
これによりClaudeの振る舞いを調整できます。
このファイルには以下の情報を含めると良いでしょう:
- プロジェクトの目的と全体構造
- 採用している設計パターンやコーディング規約
- Claudeに期待する支援の具体的な内容
- 注意すべき制約条件や守るべきルール
大規模プロジェクトでは、階層的にCLAUDE.mdファイルを配置する方法も効果的です。
例えば「views/CLAUDE.md」ではフロントエンド関連の指示を記述します。
また、「models/CLAUDE.md」ではデータモデル関連の指示を記述できます。
通常の会話での文脈設定
Claude UIを使用する場合も、会話の冒頭で同様の情報を提供すると効果的です。
例えば:
これからマーケティング戦略について相談します。 私たちはB2B SaaS企業です。 主な顧客は中小企業のIT部門になります。 予算は限られていますが、コンテンツマーケティングを強化したいと考えています。 提案する際は、実装の容易さと費用対効果を重視してください。
このような文脈設定により、Claudeはより的確な支援ができるようになります。
長期的な会話では、時折「これまでの話を整理すると…」と要約しましょう。
これにより文脈の維持に役立ちます。
Claudeの理解を促進する情報提供
Claudeは与えられた情報に基づいて支援します。
より質の高い支援を受けるためには、次の点に注意しましょう。
明確な情報構造
情報は整理された形で提供しましょう。
例えば、コードレビュー依頼の場合:
- 対象コードの目的
- コードの現状と問題点
- 期待する改善点
- 制約条件(パフォーマンス要件、互換性など)
通常の会話でも同様です。
情報を整理して伝えることで、Claudeの理解が深まります。
専門用語と文脈の共有
専門性の高い分野では、主要な専門用語や概念を説明しておくと効果的です。
また、自分が前提としている知識や背景情報も明示的に共有しましょう。
これにより誤解を減らせます。
例えば、特定の業界のマーケティング戦略を相談する場合:
当社はEdTech業界です。 主に高等教育機関向けにLMS(学習管理システム)を提供しています。 この業界では通常、意思決定サイクルが6〜12ヶ月と長いです。 また、複数の関係者(IT部門、教員、管理部門)が関与します。
エージェンティックな対話を実現する手法
Claudeをより自律的なアシスタントとして活用するためには、次のテクニックが効果的です。
明確な役割設定
Claudeに具体的な役割を与えると、より的確な支援が得られます。
例えば:
- 「経験豊富なプログラマーとして、このコードを最適化してください」
- 「UXデザイナーの視点から、このフォームの問題点を分析してください」
- 「SEO専門家として、このブログ記事を評価してください」
役割に応じて異なる視点や専門知識を引き出せます。
段階的なタスク分解
複雑なタスクは段階的に依頼すると効果的です。
例えば、ウェブサイト設計の場合:
- まず全体的なコンセプトとターゲットユーザーを議論する
- 次にサイト構造と主要ページの内容を決定する
- 各ページのレイアウトとデザイン要素を検討する
- 最後に実装上の注意点を整理する
このような段階的アプローチにより、各ステップで深い議論が可能になります。
実践的な活用シナリオ
コードレビューと改善
コードレビュー依頼では、単に「このコードをレビューして」と言うのは避けましょう。
次のように依頼するとより良い結果が得られます:
このユーザー認証モジュールをレビューしてください。 特にセキュリティとパフォーマンスの観点から改善点を指摘してください。 また、コード構造がDRY原則に従っているか評価してください。
このような具体的な観点の提示により、Claudeはより的確なレビューを提供できます。
ドキュメント作成の効率化
技術文書や説明文書の作成では、対象読者と目的を明確にしましょう:
このAPIの使用方法を説明するドキュメントを作成しています。 対象読者は開発経験は少ないですが、基本的なプログラミング知識はある初心者エンジニアです。 コード例を含めた実践的な説明を心がけてください。
対象読者の知識レベルや興味を明確にすることで、より適切な文書が作成できます。
問題解決のブレインストーミング
問題解決には、複数の視点からのアプローチが有効です:
チームのリモートワーク環境でのコミュニケーション不足が課題になっています。 エンジニア、マネージャー、新入社員の3つの視点から考えてください。 この問題の原因と解決策を提案してください。
複数の視点を指定することで、多角的な分析と解決策を得られます。
反復的な改善プロセス
Claudeとの協働では、一度の対話で完璧な結果を求めるのは避けましょう。
反復的に改善していくアプローチが効果的です。
フィードバックの活用
初期の回答に対して具体的なフィードバックを提供しましょう。
より的確な支援が得られます:
この提案は良いですね。 ただ、もう少しコスト面を考慮して修正してもらえますか? 特に初期投資を抑えたバージョンも検討したいです。
このようなフィードバックにより、Claudeは回答を適切に調整できます。
会話の継続と発展
複雑なトピックでは、一連の会話を通じて徐々に理解を深めていくアプローチが有効です。
会話の流れを整理しましょう。
各ステップでの理解や決定を確認しながら進めると良いでしょう。
ここまでの議論で、マイクロサービスアーキテクチャの採用について合意しました。 また、最初の3つのサービスの切り分けについても決定しました。 次は、これらのサービス間の通信方法について検討しましょう。
まとめ
Claudeは、適切なガイダンスを与えることで、単なる質問応答ツールを超えた協働パートナーとなります。
明確な文脈設定、段階的なタスク分解、具体的なフィードバックを組み合わせましょう。
これによりClaudeの能力を最大限に引き出せます。
エージェンティックAIとの協働の本質は、AIに作業を丸投げすることではありません。
人間とAIが互いの強みを活かして一緒に問題解決することにあります。
Claudeはコード開発だけでなく様々な場面で活用できます。
文書作成、アイデア発想、分析作業など、多様な用途に対応します。
これらのベストプラクティスを取り入れて、より効率的で創造的な協働プロセスを実現してみてください。
あなたの仕事やプロジェクトに、Claudeが新たな視点と可能性をもたらすでしょう。