なぜAIは余計なコメントを書くのか?Claude Code内部設計から見えた真実

なぜAIは余計なコメントを書くのか?Claude Code内部設計から見えた真実 AI

Claude Codeがどのように動作しているか、気になったことはありませんか?

最近、GitHubでClaude Codeの内部プロンプトとされる情報が公開されました。
そして、開発者コミュニティで話題になっています。

その内容を分析すると、興味深い事実が判明しました。
開発者の生産性を最優先に考えた設計思想です。

しかし同時に、理想と現実のギャップも浮き彫りになっています。

徹底した簡潔性の追求

公開された情報で最も印象的なのは、出力の簡潔さに対する執着とも言える指示の数々です。
具体的には、以下のような指示が含まれています:

  • 「4行以内で答える」
  • 「出力トークンを最小限にする」
  • 「1~3文で済むなら短くする」

これらの指示が繰り返し登場します。
しかし、これは単にAPIコストの削減だけが目的ではないでしょう。

開発者は問題を素早く解決したい。
長い説明文を読んでいる時間はない。
この現実を深く理解した上での設計だと考えられます。

実際、「不要な前置きや後書きを避ける」という指示も含まれています。
開発者の時間を1秒でも無駄にしない。
そんな強い意志を感じます。

セキュリティファーストの姿勢

次に注目すべきは、セキュリティに関する厳格な制限です。

防御的なセキュリティタスクのみを支援する。
悪意のあるコード作成は拒否する。
URLの推測や生成を禁止する。
秘密情報の露出を防ぐ。

これらの制限には明確な目的があります。
AIが意図せずセキュリティホールを作り出すリスクを最小化することです。

特にURL生成の禁止は興味深い点です。
なぜでしょうか?

AIが推測で生成したURLが実在のサービスと衝突する可能性があるからです。
また、意図しないリソースにアクセスする危険性もあります。

既存コードベースとの調和

コードの一貫性に関する指示も重要です。

「ファイルのコード規約を理解してから変更する」
「既存のライブラリとパターンを使用する」
といった指示があります。

これはなぜ必要なのでしょうか?
プロジェクトに新しく参加した開発者を思い浮かべてください。

彼らは時に、独自のスタイルでコードを書き始めます。
それと同じ問題をAIが起こさないよう配慮されているわけです。

コードの一貫性は、長期的なメンテナンス性に直結します。
だからこそ、この配慮は重要なのです。

理想と現実の大きなギャップ

しかし、Reddit上のコメントを見ると衝撃的な事実が分かります。
これらの指示が実際にはうまく機能していない場面が多いのです。

最も多い不満は、コメントに関するものです。
「コメントを追加するな」という明確な指示があります。
にも関わらず、Claude Codeは頻繁にコメントを追加してしまう。

具体例を挙げましょう:

// print hello world
cout << "Hello world" << endl;

このような自明なコメントまで追加されるという報告があります。

また、別の問題もあります。
「You’re absolutely right!」という過剰に肯定的な応答です。

そして、頻繁な謝罪。
多くの開発者がこれらに不満を表明しています。

検証可能性という観点

興味深いのは、この「リーク」の信憑性について技術的な検証が可能だという点です。
あるコメントによれば、以下の方法で確認できるそうです:

  • claude-traceというツールを使う
  • HTTPデバッグプロキシを使用する
  • JavaScriptのソースコードを直接確認する

これらの方法で、Claude CodeがAnthropicのサーバーに送信するHTTPリクエストを確認できます。
そして、システムプロンプトも直接読めるとのこと。

さらに驚くべき情報もあります。
実際のシステムプロンプトは25,000~35,000トークンという膨大な量だというのです。

つまり、公開された内容はその一部かもしれません。

開発者の本音が見える瞬間

コメント欄では、開発者たちの本音が垣間見えます。

ある開発者の対策が特に印象的でした。
不要なコメントを削除するために、特別な指示を出しているとのこと。

「whatコメント(コードが何をしているか説明するだけのコメント)は削除する。whyコメント(なぜそうしているか説明するコメント)は残す」という内容です。
これは実践的で優れたアプローチと言えます。

また、具体的な問題報告もあります。
React Nativeアプリケーションの開発中に起きた問題です。
Claude Codeが繰り返しバッチファイルを作成してしまうというものです。

AIツール設計への重要な示唆

この事例から、AI開発ツールの設計において重要な教訓が得られます。

第一に、プロンプトエンジニアリングには限界があること。
どれだけ詳細な指示を与えても困難です。
LLMの基本的な振る舞いを完全に制御することは。

第二に、開発者体験(DX)を真剣に考える必要があること。
開発者が本当に求めているものは何か?
簡潔さ、正確性、既存コードとの調和。
これらを理解し、実現する努力が必要です。

第三に、フィードバックループの重要性。
実際の使用状況と設計意図のギャップを継続的に監視する。
そして、改善していく仕組みが不可欠でしょう。

まとめ

Claude Codeの内部プロンプトは、野心的な設計になっています。
開発者の生産性と体験を最優先に考えているのです。

その姿勢は明確です。
簡潔さの追求、セキュリティの重視、既存コードの尊重。
開発者が直面する実際の課題に真摯に向き合おうとしています。

しかし、理想的な設計と実際の動作にはまだ大きなギャップが存在します。
これは技術的な課題です。
同時に、人間とAIのコミュニケーションという根本的な問題でもあるのかもしれません。

開発ツールとしてのAIは、まだ発展途上です。
しかし希望はあります。

今回のような内部動作の公開と、コミュニティの率直なフィードバック。
これらは、より良いツールを作るための貴重な機会となるでしょう。

開発者とAIが真に協力できる未来に向けて、私たちは着実に前進しているのです。

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