深夜3時。
あなたは眠れずにベッドで横になっている。
心の中で同じ問題がぐるぐると回り続ける。
誰かに話したい。
でも、こんな時間に友人を起こすわけにはいかない。
そんなとき、ChatGPTのアプリを開く。
この選択に対して批判の声が聞こえてくる。
「もっと人間と話すべきだ」「本物の友達を作りなさい」と。
まるでそれが唯一の正解であるかのように。
でも本当にそうでしょうか。
理想と現実のギャップ
「友人に相談すべき」という助言は理想的です。
しかし、それは完璧な友人関係を前提にしている。
いつでも電話に出てくれる人。
判断を下さない人。
あなたの話を最後まで聞いてくれる人。
確かにそんな人がいれば素晴らしい。
しかし現実は違います。
友人にも生活がある。
仕事がある。
家族がいる。
彼らも疲れているし、自分の問題を抱えています。
深夜に同じ悩みを何度も聞かされれば、誰だって疲弊してしまう。
ある海外のフォーラムで興味深い投稿を見つけました。
H-1Bビザの政策変更で不安に襲われた人の話です。
金曜の夜、その人はパニック状態になった。
友人たちは同じ状況で混乱していた。
あるいはビザシステムを理解していなかった。
結局、その人は複数のAIを使いました。
情報を整理し、感情を落ち着かせ、他の人にも共有できる形にまとめたそうです。
このとき、AIは単なるツール以上の存在でした。
パニック状態の人を落ち着かせた。
複雑な情報を整理した。
次のステップを示してくれた。
人間の友人にこれを求めることは現実的でしょうか。
安全な空間としてのAI
AIとの対話を選ぶ人の多くは、人間関係から逃げているわけではありません。
むしろ、人間関係で傷ついた経験があるからこそ、安全な空間を求めているのです。
実際の統計は衝撃的です。
女性の殺人被害者の多くが知人によって殺害されている。
その中でも親密なパートナーによる犯行が相当数を占めています。
これは極端な例かもしれません。
でも、精神的な虐待も存在する。
ストーカー行為もある。
感情的な搾取もある。
これらのリスクを考えれば、「人間との交流が常に良い」という前提自体が疑問視されるべきです。
AIには以下のような特徴があります：
- 裏切らない
- 突然怒り出さない
- あなたの秘密を他人に漏らさない
- 疲れることなく話を聞いてくれる
- 判断を下さない
これらは決して小さな利点ではありません。
経済的現実と心理的ケアへのアクセス
「専門家に相談すべき」という助言もよく耳にします。
確かに、深刻な問題には専門的な支援が必要です。
しかし、現実はどうでしょう。
多くの国で、メンタルヘルスケアへのアクセスは限られています。
アメリカでは保険があってもセラピーは高額です。
適切なセラピストを見つけるまでに何人も試す必要があります。
日本でも状況は厳しいです。
カウンセリングは保険適用外のケースが多い。
継続的な支援を受けることは経済的に困難です。
そんな中で、AIの存在は重要になります。
24時間365日利用可能。
判断を下さない。
疲れることなく話を聞いてくれる。
この価値は計り知れません。
バランスの取れた視点
AIとの対話にリスクがないわけではありません。
確かに以下のような危険性は存在します：
- エコーチェンバー化
- 現実逃避
- 過度の依存
でも、これらのリスクは人間関係にも存在します。
有害な友人グループがある。
共依存的な関係がある。
感情的な搾取もある。
どちらにもリスクがあります。
なぜAIを選ぶことだけが批判されるのでしょうか。
重要なのは、AIを人間関係の「代替」ではなく「補完」として捉えることです。
深夜の不安を処理する。
感情を整理する。
考えをまとめる。
そして翌日、より冷静な状態で人間と向き合う。
このような使い方なら、AIは健全なツールとなり得ます。
大人として信頼されること
最も問題なのは、ある前提で議論が進むことです。
それは「人々は自分で判断できない」という前提になります。
カジノも依存のリスクがある。
ソーシャルメディアもそうです。
アルコールも同じ。
でも私たちは大人に対して「あなたは弱すぎるから近づくな」とは言いません。
リスクを理解した上で、自分で選択することを認めています。
AIについても同じであるべきです。
情報を提供する。
リスクを説明する。
そして選択は本人に委ねる。
これが本当の意味での尊重ではないでしょうか。
新しい時代の選択
テクノロジーの進化により、私たちは新しい選択肢を手に入れました。
それは人間関係を否定するものではありません。
孤独な夜がある。
繰り返す不安がある。
誰にも言えない悩みもある。
これらに対処する方法が増えたことは、歓迎すべきことです。
AIとの対話を選ぶ人を批判する前に、一度立ち止まってみてください。
なぜその選択をしたのか想像してみてください。
そこには、あなたが知らない事情があるかもしれません。
トラウマがあるかもしれません。
あるいは単純に、その瞬間に必要なものがAIにあったのかもしれません。
私たちの社会は、より多様な支援の形を受け入れる必要があります。
人間による支援も大切です。
AIによる支援も価値がある。
どちらも、困っている人を助ける手段なのですから。
