本記事は、David Crawshawの記事「How I program with LLMs」の内容を解説し、
LLMを活用したプログラミング手法について紹介するものです。
変わりゆくプログラミング環境
生成AI技術の発展は、プログラミングの世界に大きな変化をもたらしています。
そして、多くの開発者がLLMを活用したプログラミング手法を模索しています。
Crawshawは1年間の実践を通じて、LLMが開発生産性を確実に向上させると報告しています。
実際、LLMを活用した開発に慣れると、従来の方法に戻ることは難しいようです。
3つの活用パターン
Crawshawによると、日々のプログラミングにおいて、LLMは主に3つの方法で活用できます。
まず、コードの自動補完機能です。
そして、技術的な検索エンジンとしての活用です。
さらに、チャット形式でのプログラミング支援があります。
自動補完機能は、単純な入力作業の多くを代行してくれます。
そのため、作業効率が大幅に向上します。
多くの開発者が、この機能の便利さを実感しているようです。
検索機能としてのLLMは、従来の検索エンジンとは一味違います。
なぜなら、具体的な技術的質問に対して、より的確な回答が得られるためです。
もちろん、時には誤った情報を提供することもあります。
しかし、それは人間の回答と同様に、適切に判断して活用すれば問題ありません。
対話型プログラミングの実践
チャット形式での活用は、最も価値がある一方で、最も扱いが難しい手法だとCrawshawは指摘します。
なぜなら、従来のプログラミング手法を変更する必要があり、その過程で多くの学びが求められるためです。
LLMとの対話によるプログラミングでは、明確な目的と十分な背景情報が重要になります。
そして、生成されたコードは必ずコンパイルし、テストを実行する必要があります。
コンパイルエラーが発生した場合でも、エラーメッセージを共有することで、LLMは適切に修正を行えるとのことです。
コード構造の新しい考え方
LLMの活用は、コードの構造化に関する従来の考え方も変えつつあります。
たとえば、パッケージの分割がより小さな単位で可能になりました。
これにより、コードの可読性が向上しています。
APIラッパーの実装においても、新しい可能性が開けています。
従来は汎用的な大規模ライブラリを使用するのが一般的でした。
しかし、LLMを活用することで、必要な機能に特化した独自実装が現実的な選択肢となっています。
Crawshawは、Gemini APIのラッパー実装を例に、この利点を説明しています。
開発環境の革新
こうした新しいプログラミング手法をサポートするため、開発環境も進化を遂げています。
Crawshawらは、Go言語に特化した開発環境「sketch.dev」の構築を進めています。
このツールは、LLMの特性を活かした新しい開発体験の提供を目指しています。
特筆すべきは、sketch.devがLLM向けのIDEとして設計されている点です。
従来のIDEがプログラマー向けのツール集であるのに対し、sketch.devはLLMとプログラマーの協働を促進する環境として機能します。
今後の展望
LLMを活用したプログラミング手法は、まだ発展途上にあります。
しかし、テストコードの品質向上や、コードの専門化が進むことで、ソフトウェア開発の質が全体的に向上すると期待されています。
このように、LLMは単なる補助ツールを超えた存在となりつつあります。
そして、プログラミングの新たな可能性を切り開いています。
開発者は、これらの技術を適切に活用することで、より効率的で質の高い開発を実現できるでしょう。