大規模なコードリファクタリングで、どのAIツールを選ぶか迷っていませんか?
先日、Redditで興味深い比較記事を見つけました。
ある開発者が104ドルをかけて、2つの最新AIモデルを徹底比較したというものです。
今回はその結果を詳しく紹介します。
比較の背景
この開発者は、13万5千行を超えるRustコードベースを扱っていました。
そして、Tokioランタイムを使った非同期処理のリファクタリングが必要になったのです。
手作業では膨大な時間がかかります。
そこでAIの力を借りることにしたそうです。
しかし、どのモデルが本当に実用的なのか。
それを確かめるため、Claude Sonnet 4とGemini 2.5 Pro Previewを実際に使って比較することにしたのです。
テスト環境と条件
比較の公平性を保つため、以下の条件で実施されました:
- MacBook Pro M2 Max
- VS Code
- OpenRouter経由で同じAPI設定
- 後方互換性を保ちながらのリファクタリング
- 複数モジュールにまたがる変更
重要なのは、単純なコード生成ではない点です。
実際のプロダクションコードのリファクタリングを評価しています。
速度比較:圧倒的な差
最初に驚いたのは実行速度の違いでした。
Claude Sonnet 4:平均6分5秒
Gemini 2.5 Pro:平均17分1秒
つまり、Claudeは約2.8倍速いということになります。
この差は単なる数字以上の意味を持ちます。
開発フローの中で、10分以上待つのは集中力を削ぎます。
6分で済むなら、その差は大きいでしょう。
精度の違い:指示への忠実さ
速度だけでなく、精度にも大きな違いがありました。
Claudeの特徴:
- 指定したファイルのみを修正
- タスク完了率100%
- 余計な変更を加えない
Geminiの特徴:
- 78%のケースで指定外のファイルも修正
- 約半数のケースで要求していない機能を追加
この違いは開発現場では致命的です。
予期しない変更はバグの原因になります。
そして、コードレビューの負担も増大してしまうのです。
実際のコスト計算
表面的なAPIコストだけ見ると、Geminiの方が安く見えます。
APIコスト(タスクあたり):
- Claude:5.85ドル
- Gemini:2.30ドル
しかし、開発者の時間を考慮すると状況は逆転します。
時給48ドルの開発者を想定した場合の実質コストは次のとおりです。
実質的なコスト(タスクあたり):
- Claude:10.70ドル
- Gemini:16.48ドル
この差は、Geminiで発生する追加作業によるものです。
修正作業や確認作業に時間がかかるからです。
パラメータ設定の重要性
Redditのコメントで、興味深い指摘がありました。
Googleの開発者が推奨する設定値があるというのです。
コーディングタスクでは、以下の設定が効果的だそうです:
- Temperature:0.1
- Top P:1.0
ただし、今回のテストではデフォルト設定で比較されています。
実際の開発現場では、こうした細かな調整も試してみる価値があるでしょう。
実際の使い分け方
Redditのコメントでは、実践的な使い分けも紹介されていました。
ある開発者は次のような使い分けをしているそうです。
まず、アーキテクチャ設計や初期実装にGeminiを使います。
その後、細かなエラー修正や調整にClaudeを使うのです。
また、200kトークンを超える大規模な処理では、コストの観点からGeminiを選択することもあるとのこと。
Claudeの月額プランを使い切った後、Geminiに切り替えるという実用的なアプローチも見られました。
選択の基準
どちらを選ぶべきか。
それは用途によります。
Claudeが適している場面:
- 厳密な仕様に従う必要があるリファクタリング
- 既存コードの安定性を重視する場合
- API互換性を保つ必要がある場合
Geminiが適している場面:
- 創造的な新機能開発
- アイデア出しの段階
- 大規模なトークン処理が必要な場合
重要なのは、ツールの特性を理解することです。
Claudeは制約を守ることに長けています。
一方、Geminiは創造性に富んでいます。
まとめ
今回紹介したRedditの比較記事から、多くの示唆を得ることができました。
APIコストだけでなく、開発者の時間も考慮する必要があります。
そして、コードの品質や後続作業の負担も重要な要素です。
それぞれのツールには特性があります。
その特性を理解して、適材適所で使い分けることが大切です。
AIツールは開発を加速させる強力な味方です。
しかし、その選択と使い方次第で、生産性は大きく変わります。
自分のプロジェクトに最適なツールを見つけ、効果的に活用していきましょう。