Pythonで画像処理を行なう場合、かつてはPILが有名でした。
しかし、2011年を最後にPILの開発は停止しています。
現在では、PILの代わりにPillowが定番ライブラリとなっています。
この記事では、PILの後釜となったPillowのインストールについて解説しています。
本記事の内容
- Pillowとは?
- PIPによるPillowのインストール
- Pillowによる画像表示
それでは、上記に沿って解説していきます。
Pillowとは?
PILは、Python Imaging Libraryの略称です。
そして、PillowはこのPILの後継プロジェクトとして開始されました。
よって、PILとPillowは関係があるのです。
このような経緯があるため、PILと言えばPillowのことだと考えてください。
このPillowによってできる主な機能は、以下。
- サムネイルの作成
- ファイルフォーマット間の変換
- 画像の印刷
- 画像のリサイズや回転
- アフィン変換
- 画像から統計情報の取得
「画像から統計情報の取得」が、面白そうです。
他の機能は、大体予想は付きますね。
基本的に、Pythonが動く環境であればインストール可能です。
その意味では、OSは問わないと言えるでしょう。
ただし、インストールされているPythonのバージョンには注意です。
Pythonのバージョンにより、サポートされるPillowのバージョンが異なります。
Python 3系の対応表
Python | 3.9 | 3.8 | 3.7 | 3.6 | 3.5 | 3.4 | 3.3 | 3.2 |
Pillow >= 8.0 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
Pillow 7.0 – 7.2 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
Pillow 6.2.1 – 6.2.2 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
Pillow 6.0 – 6.2.0 | ○ | ○ | ○ | |||||
Pillow 5.2 – 5.4 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
Pillow 5.0 – 5.1 | ○ | ○ | ○ | |||||
Pillow 4 | ○ | ○ | ○ | |||||
Pillow 2 – 3 | ○ | ○ | ○ | ○ |
Pillowのインストールにおいては、Pythonのバージョンが一番の注意点になるでしょう。
では、以下ではPillowをインストールしていきます。
PIPによるPillowのインストール
最初に、Pythonのバージョンを確認します。
Windowsなら、コマンドプロンプトかAnaconda Promptを起動させます。
そして、次のコマンドを実行。
>python -V Python 3.8.3
私の環境では、Python 3.8がインストールされています。
そうであれば、Pillowは次の3つのバージョンがサポートされています。
- Pillow 6.2.1 – 6.2.2
- Pillow 7.0 – 7.2
- Pillow >= 8.0
今回、PIPを使ってPillowをインストールします。
そのため、特にPillowのバージョンは意識することはありません。
PIPがバージョンの整合性に関しては、上手いことしてくれるはずなので。
では、インストールします。
ただ、その前に以下のおまじないを唱えておきましょう。
python -m pip install --upgrade pip
PIPを利用する場合は、無条件で常に実行します。
>python -m pip install --upgrade pip Collecting pip Downloading pip-20.3.1-py2.py3-none-any.whl (1.5 MB) |████████████████████████████████| 1.5 MB 2.2 MB/s Installing collected packages: pip Attempting uninstall: pip Found existing installation: pip 20.2.4 Uninstalling pip-20.2.4: Successfully uninstalled pip-20.2.4 Successfully installed pip-20.3.1
PIPのバージョンが上がりました。
これがあるから、おまじないのように唱えておくべきなのです。
準備が整ったので、いざPillowのインストールです。
>pip install Pillow Collecting Pillow Downloading Pillow-8.0.1-cp37-cp37m-win_amd64.whl (2.1 MB) |████████████████████████████████| 2.1 MB 3.2 MB/s Installing collected packages: Pillow Successfully installed Pillow-8.0.1
最新バージョンのPillowがインストールされました。
インストール状況を確認します。
>pip show Pillow Name: Pillow Version: 8.0.1 Summary: Python Imaging Library (Fork) Home-page: https://python-pillow.org Author: Alex Clark (PIL Fork Author) Author-email: aclark@python-pillow.org License: HPND Location: c:\anaconda\lib\site-packages Requires: Required-by: torchvision, scikit-image, PyScreeze, pyocr, MouseInfo, mglearn, bokeh
ちゃんと、バージョン8.0.1のPillowがインストールされています。
では、検証のためにプログラムからPillowを利用してみましょう。
Pillowによる画像表示
用意した画像(inu.jpg)は以下。
画像を表示するPythonのプログラムは、以下。
from PIL import Image im = Image.open("inu.jpg") im.show()
Imageクラスからインスタンスを生成。
そして、show()関数により画像を表示します。
なお、公式サイトではshow()関数は次のように説明しています。
適切なユーティリティがインストールされていなければ、動作しません。
しかし、正常に動作する場合は、デバッグやテストに非常に便利です。
つまり、環境依存する関数と言えます。
ちなみに、Windows 7だとフォトビューワーが起動します。
ここまで確認できれば、問題はありませんね。
Pillowのインストールは成功と言えます。
以上で、Pillow(PIL)のインストールの解説を終わります。