OpenAIが発表した大規模調査の結果が興味深いです。
私たちのAI利用に関する思い込みを覆しています。
2025年7月時点で7億人以上が利用するChatGPT。
その実際の使われ方を、1億件以上のメッセージ分析から見てみましょう。
プログラミング利用の意外な少なさ
最も驚くべき発見があります。
コーディング関連の用途がわずか4.2%だったことです。
技術系コミュニティでは「ChatGPTといえばコード生成」という印象が強い。
でも、実態は大きく異なります。
この数字について、Reddit上では活発な議論が交わされました。
ある開発者はこうコメントしています。
「Cursorを使い始めてからChatGPTでコードを書くことはなくなった」。
実際、多くのプログラマーは専門的なコーディング支援ツールへ移行しているようです。
興味深いのは、AnthropicのClaude利用調査との比較です。
Claudeでは仕事関連の会話の約33%がプログラミング関連でした。
この差が示すものは何か。
ChatGPTが汎用ツール、Claudeが開発者向けツールという明確な棲み分けです。
本当の主要用途:実用的なガイダンスと情報収集
ChatGPTの実際の用途トップ3を見てみましょう。
- 実用的なガイダンス(29%)
料理のレシピから運動計画まで。
日常生活での具体的なアドバイスを求める用途が最多でした。
「今日の夕食何にしよう」「筋トレメニューを組んで」。
こういった質問が典型例です。 - 情報検索(24%)
従来のGoogle検索に代わる使い方が急増しています。
特に注目すべき点があります。
2024年から2025年にかけて14%から24%へと大幅に増加したことです。 - 文章作成・編集(24%)
メール作成、文書の推敲、翻訳など。
仕事関連の使用では実に40%を占めています。
ビジネスでの主要な活用方法となっています。
仕事での使い方の実態
調査によれば、2025年6月時点でChatGPTの使用の73%は仕事以外の目的でした。
仕事での使用は27%まで減少。
これは多くの人にとって意外な数字かもしれません。
仕事で使う場合の内訳を見てみましょう。
文章作成が圧倒的に多い。
次いで情報収集と意思決定支援が続きます。
Redditのあるユーザーはこう述べています。
「メールの下書きをChatGPTで作り、それを自分の言葉に修正して送信している」。
こうした「アシスタント的」な使い方が主流のようです。
職種による違いも明確です。
- 管理職・ビジネス職:52%が文章作成に使用
- エンジニア職:37%が技術的な支援を求める
- 全職種共通:「情報収集」と「意思決定支援」が上位
どの職種でも共通点があるのは興味深い現象です。
ユーザー層の大きな変化
ChatGPTのユーザー層にも劇的な変化が起きています。
性別の均等化
リリース直後は男性ユーザーが80%を占めていました。
しかし、2025年6月には女性ユーザーがわずかに上回るまでになりました。
女性は特に文章作成と実用的ガイダンスでの利用が多い。
一方、男性は技術的支援と情報検索での利用が目立ちます。
若年層の圧倒的な存在感
18-25歳のユーザーが全メッセージの46%を占めています。
この世代にとってChatGPTは特別なものではありません。
私たちがGoogleを使うのと同じような日常的なツールになっているのでしょう。
グローバルな広がり
特筆すべきは、低・中所得国での急速な普及です。
GDP1万~4万ドルの国々で最も高い成長率を記録。
ChatGPTが先進国だけのツールではないことを示しています。
誤解されていた「AI彼女」問題
メディアでは「AI依存」や「バーチャル恋愛」が話題になりがちです。
でも、実際の数字は全く異なります。
- 人間関係や個人的な内省に関する会話:1.9%
- ゲームやロールプレイ:0.4%
Reddit上では皮肉なコメントも見られました。
「ChatGPTユーザーは、Redditで話題になるほどクレイジーではない」。
確かに、オンラインで目立つ極端な使用例がある。
でも、実際の平均的な使用パターンには大きな乖離があるようです。
今後の展望:二極化するAIツール
この調査から見えてくるものは何か。
AIチャットボットの「一般化」です。
ChatGPTは特別な技術ツールから変貌しました。
日常的な情報アシスタントへと進化したのです。
同時に、用途別の専門化も進んでいます。
- プログラミング:CursorやGitHub Copilot
- クリエイティブな文章:Claude
- 汎用的な質問:ChatGPT
こうした使い分けが定着しつつあります。
Redditのある開発者の冗談が印象的でした。
「ChatGPTを開くと同僚から『normie(一般人)』扱いされる」。
これは冗談ではありますが、現実を表しています。
AIツールの選択が専門性を示すシグナルになりつつあるのです。
まとめ
ChatGPTは「万能プログラミング支援ツール」ではありませんでした。
「日常的な情報アシスタント」として定着したのです。
料理のレシピを調べる。
メールを推敲する。
ちょっとした疑問を解決する。
それが実際のChatGPTの姿です。
この変化は失望すべきものではありません。
むしろ、AIが特別な存在から進化した証拠です。
日常的なツールへと変わったのです。
電卓やスマートフォンがそうであったように。
ChatGPTも私たちの生活に溶け込んでいます。
「当たり前のツール」になりつつあります。
AIの真の革命は、派手な用途にはありません。
日常の小さな改善の積み重ねにあるのかもしれません。