コンサルティング業界の倒産件数が、過去最多を更新しました。
2024年の倒産件数は154件となり、前年と比較して7.6%増加しています。
この変化は、コンサル業界の大きな転換点を示しています。
本記事では、コンサル業界に起きている構造変化について解説します。
参入障壁の低さが生む課題
コンサルタント業界は、1人でも開業が可能です。
そのため、開業資金も少なくて済みます。
このような参入のしやすさから、多くの事業者が市場に参入してきました。
その結果、市場は玉石混交の状態となっています。
しかし、コロナ禍を境に状況は一変しました。
実践的な経験や専門的な知識を持たないコンサルタントの淘汰が、急速に進んでいます。
顧客企業の余裕度の変化
コロナ禍により、企業は以下の3つの余裕を失いました。
- 時間的余裕
- 資金的余裕
- リスクを取る余裕
このような状況下で、企業はより即効性のある解決策を求めるようになっています。
そのため、実践的な経験や専門的な知識を持たないコンサルタントは、市場から退出を余儀なくされています。
専門性による市場の選別
現在、DX支援やM&A、事業再生など、高度な専門知識が必要な分野での需要は高まっています。
これらの分野で実績を持つコンサルタントは、むしろ業績を伸ばしているケースも少なくありません。
一方で、一般的なビジネスアドバイスだけでは、顧客の期待に応えることが難しくなっています。
実際、倒産企業の大半は経営基盤の弱い中小企業です。
具体的には、資本金1億円未満が98.7%を占めています。
また、従業員5名以下の小規模事業者が92.8%となっています。
実例から見る現状
ある補助金申請支援を手がけていた企業は、約20億円の負債を抱えて破綻しました。
この企業は業容拡大を図りましたが、人件費などの経費負担に耐えられませんでした。
この事例からも、規模の拡大だけでは生き残れない現状が見えてきます。
今後の展望と求められる対応
業界関係者の間では、今後さらに専門性による選別が進むという見方が強くなっています。
コンサルタント業の本質は、顧客企業への具体的な価値提供にあります。
そのため、この転換期を生き抜くには、専門分野における深い知見が必要です。
さらに、それを実践で示せる実績の蓄積も欠かせません。
まとめ
コロナ禍は、コンサル業界に大きな変化をもたらしました。
この変化は、業界の健全化につながる可能性を持っています。
これからは、より専門性の高いサービスを提供できる事業者が選ばれる時代となるでしょう。