AIとの共同開発が一般的になってきました。
特にClaude Sonnet 4を使った開発では、多くの開発者が共通の課題に直面しています。
ここでは、実践的な教訓と解決策を紹介します。
1. 市場検証にLLMを過信しない
LLMは基本的に肯定的です。
どんなアイデアでも「素晴らしい!」と反応します。
「ペット愛好家向けSNS」というアイデアを提案すれば、既存のFacebookグループの存在を考慮せずに賛同してくれるでしょう。
より効果的なアプローチがあります。
LLMに批判的な視点を求めるのです。
「このアイデアの競合は?」「実装上の課題は?」といった質問が有効です。
悪魔の代弁者として機能してもらうことで、より現実的な評価が得られます。
多くの開発者が「このアイデアの問題点を5つ挙げて」という指示を使っています。
これにより、既存サービスとの差別化や技術的課題が明確になります。
2. LLMを技術アドバイザーとして活用
「あなたは経験豊富なCTOです。技術スタックを提案してください」
このような役割設定により、回答の質が大きく向上します。
さらに重要なのは、制約条件を明確にすることです。
よく使われる制約条件:
- MVP開発:「2週間以内に構築可能」
- 予算制限:「無料プランのみ使用」
- 拡張性重視:「将来的に大規模化可能」
それぞれの条件で、全く異なる技術構成が提案されます。
例えば「2週間で構築、月額コスト最小限」という条件では、SupabaseとVercelの組み合わせがよく推奨されます。
また、技術的負債についても確認することが重要です。
3. プロジェクトファイルの効果的な管理
Claude Projectsの機能を使い、関連ファイルを整理します。
要件定義、設計図、既存コードなどを添付しておくことで、文脈の維持が容易になります。
効果的なワークフローの例:
- 必要なファイルをプロジェクトに添付
- 「添付ファイルの関係性を説明して」で現状確認
- 具体的なタスクに着手
多くの開発者は、最新の5〜10ファイルを常に添付しています。
これにより、毎回プロジェクトの全体像を説明する手間が省けます。
4. トークン管理の重要性
長時間の開発セッションでは、トークン限界が問題になります。
限界に達すると、それまでの文脈がすべて失われてしまいます。
推奨される対策:
- 定期的に残りトークンを確認
- マイルストーンごとにコードをコミット
- 新しいチャットへの引き継ぎ準備
引き継ぎの際は、現在の進捗と次のタスクを明確に記述します。
例えば「認証システム完了、次は決済機能」といった簡潔な要約が効果的です。
5. 複数ファイルにまたがるデバッグ
LLMは単一ファイルに注目しがちです。
しかし、実際のバグは複数のファイル間の依存関係から生じることが多くあります。
効果的なアプローチ:
俯瞰的な分析
「プロジェクト全体の依存関係を考慮して、このバグの原因を探って」という指示が有効です。
体系的なデバッグ
複数ファイルを横断的に調査するスクリプトの作成を依頼します。
インポートチェーンの分析や、モジュール間の関係を可視化するツールが役立ちます。
# デバッグスクリプトの例 import sys def analyze_imports(): print("=== モジュール依存関係 ===") for name, module in sys.modules.items(): if 'プロジェクト名' in name: print(f"{name}: {module.__file__}")
まとめ
Claudeとの効果的な協働には、AIの特性を理解することが不可欠です。
市場検証は人間の判断を重視し、技術的な実装でAIを活用。
文脈管理とトークン限界への対策も重要です。
これらの教訓は、多くの開発者の経験から導き出されたベストプラクティスと言えます。
完璧を求めすぎず、AIの強みを活かしながら開発を進めることで、生産性の大幅な向上が期待できます。