「AI対AI」の就活時代:Claude Codeで就職活動を自動化した海外エンジニアの話

「AI対AI」の就活時代:Claude Codeで就職活動を自動化した海外エンジニアの話 AI

Redditで話題になった投稿があります。
あるエンジニアがClaude Codeを使って、就職活動の大部分を自動化するシステムを構築したという内容です。

740件以上の求人を評価しました。
そして最終的に「Head of Applied AI」というポジションに就いたと報告しています。

本記事では、この投稿とコメント欄での議論を参考に、AIによる就職活動自動化の可能性と現実を整理してみます。

まず、タイトル詐欺問題から

この投稿はRedditで大きな反響を呼びました。

ただし、最初に炎上したのはシステムの中身ではありません。
タイトルの表現でした。

投稿者は「740+ offers」と書いてしまったのです。
英語で「offer」は内定を意味します。

740件の内定なんてありえない。
コメント欄は即座にツッコミの嵐になりました。

実際には、740件以上の求人リストを「評価した」という意味だったようです。
後から修正が入っています。

コミュニティの総意は明確でした。
「プロジェクト自体はすごい。でもタイトルは完全にクリックベイトだった」と。

システムの全体像

投稿者が構築したのは「career-ops」というオープンソースのツールです。
Claude Codeを軸に、就職活動全体をパイプラインとして管理する仕組みになっています。

まず第一段階が、求人の自動収集と評価です。
45社以上の企業サイトがあらかじめ設定されています。

そこから求人情報をスクレイピングで取得します。
取得した求人に対して、Claudeがスキルや希望条件との適合度をスコアリングで判定する流れです。

次に、履歴書とカバーレターの自動カスタマイズ。
各ポジションに合わせて内容を調整してくれます。

さらに、面接準備や振り返りの機能も備わっているとのこと。
あるコメント投稿者は、自分のシステムに独自の工夫を加えていました。

/prep コマンドで面接官のリサーチ、/debrief コマンドで面接の振り返り分析を行う仕組みです。

CLAUDE.mdに14のスキルモード

技術的に興味深いのは、CLAUDE.mdファイルに14のスキルモードを定義している点です。

コメント欄でも評価されていました。
「一つの巨大なプロンプトを投げるのではなく、構造化された役割をClaudeに与えるパターンは正しい」と。

役割ごとにプロンプトを分離する。
すると、Claudeが文脈を見失いにくくなります。

結果として出力の一貫性が格段に上がるそうです。

コミュニティが指摘した最大の課題:トークン消費

称賛の声と同時に、最も多かった懸念がトークン使用量の問題です。
「見ただけでトークン使用量が怖い」というコメントが初期から付いていました。

実際に試したユーザーの報告はさらに衝撃的です。
「5倍のMax制限を15分で使い切った」と。

投稿者自身はClaude Maxの20倍プランを利用していたようです。

別のユーザーも似た経験を語っています。
メールとAPIから求人を収集してダッシュボードに表示するシステムを構築した。

しかし、パイプラインの1回の実行で5時間分のトークン枠を消費したとのことでした。
AIを使った自動化は強力です。

しかし、コストとのバランスは避けて通れません。

求人ソースという根本的な問題

もう一つ、現実的な壁も指摘されていました。
求人データの取得元です。

あるコメントが印象的でした。

似たようなツールをみんな作る。
そして結局、求人情報のソースが重要だと気づく。
LinkedInもIndeedもデータベースを閉じている。
結局手作業が残る

地域による差も大きいようです。
イギリスのユーザーは「中堅テック企業は自社サイトに求人を載せないことも多い。

LinkedInに依存している」と指摘しています
UAEからは「こちらの求人サイトの多くがブロックされていた」という報告もありました。

45社がプリセットされていると言っても、AnthropicやOpenAI、Stripeといったテック企業が中心です。
「電気工事士の仕事を探したいんだけど、どう変更すればいいの?」という率直な質問も出ていました。

AI生成の履歴書・カバーレターの品質問題

自動生成の品質に関する議論も活発でした。

Claudeで洗練された履歴書とカバーレターを作るのに、何回繰り返したか分からない。
ひどい言い回しやパターンが出てくる

手動レビューなしでどうやって自動化しているのか。
多くの人が疑問に感じていたようです。

あるユーザーは別の観点を指摘しています。
「フロントエンド側、つまり履歴書やカバーレターの生成品質にはまだ改善の余地がある」と。

AIが生成する文章には、どうしても「AIっぽさ」が残ります。
この問題は現時点では完全には解決されていません。

「AI対AI」の皮肉な構図

コメント欄で最も鋭かった指摘の一つがこれです。

「AI生成の履歴書をAIが読んでスクリーニングする。現状は冗談みたいだ」

企業側はAIでキーワードフィルタリングをかけます。
応募者側はAIで最適化した書類を送る。

あるユーザーはこう書いていました。
「企業がAIで俺たちをスクリーニングして弾くなら、俺たちもAIで情報を大量に送り込む。ようやく対等な戦いだ」と。

冗談半分、本気半分でしょう。

スパム認定されるリスク

自動大量応募のリスクを指摘する声もありました。

「求人サイトはこの手のスパム行為を検知できると思う。短時間に複数企業に大量応募すれば、フラグが立つのは当然だ」という意見です。
手動で応募すべきだ、と。

ブラックリスト入りの可能性を心配する声も複数見られました。
便利さとリスクは表裏一体です。
このツールをどう運用するかは、使う側の判断に委ねられています。

実際の成果はどうだったのか

投稿者は後のコメントで具体的な数字を明かしています。

一次面接に進んだのは約12社。
少なく聞こえるかもしれません。

しかし、意図的に高い基準で求人を絞り込んでいたとのことです。
ツールのおかげで、追求する価値のない数百件のリストを効率的に除外できたと語っています。

多くの選考プロセスは最後まで進めていません。
早い段階でオファーを受諾したためです。

興味深いのは、このシステムの構築自体が「応用AIの実践力」を証明する材料になった点です。
面接でもプラスに働いたようで、結果として「Head of Applied AI」のポジションに就きました。
なるほど納得の流れでしょう。

ビジネス化の可能性

コメント欄にはこんな意見もありました。
「素晴らしいエンジニアリングだが、ターミナルツールのままではもったいない。求職者の99%はこれを動かせない」と。

WebのUIをかぶせればB2C SaaSとして成立します。
あるいは月額500ドルの「エグゼクティブ向け転職代行サービス」のバックエンドにもなり得る。

技術は完成している。
あとはパッケージングだ、と。

IndeedやLinkedInが提供する機能の多くを、個人がこれほど簡単に再現できてしまう。
この現状は、既存の求人プラットフォームにとっても脅威になり得るでしょう。

このプロジェクトから学べること

このRedditの投稿と議論から見えてくるのは、AIによる就職活動自動化の「可能性」と「限界」の両方です。

可能性としては、大量の求人情報を自分の基準でスコアリングし、フィルタリングできる点が大きい。
手作業で求人サイトを巡回する時間を、面接準備や自己分析に振り向けられます。

一方で、実用上の課題は山積みです。

トークンコストの問題。
求人データソースの制約。
AI生成文書の品質。
スパム認定リスク。

どれも簡単には解決できません。

そして何より的を射ていたのが、この指摘です。
ツールの脆弱なポイントはClaude本体ではなく「求人ページやPDF、フォームフィールドの仕様変更への追従」だと。

AIの能力よりも、周辺のインフラが壊れやすいのです。

まとめ

Claude Codeを使った就職活動自動化は、技術的には非常に興味深いプロジェクトです。
ただし、万人向けのソリューションかと言えば、現時点ではそうとは言い切れません。

高額なトークンコスト。
テック業界中心のプリセット。
英語圏向けの設計。

日本の就職市場にそのまま適用するのは難しいでしょう。

それでも、このプロジェクトが示した方向性には価値があります。
AIを使って就職活動の「作業」を減らし、「判断」に集中する。
この発想自体は、今後ますます一般的になっていくはずです。

興味のある方は、GitHubでオープンソースとして公開されている「career-ops」を覗いてみてください。
自分の就職活動に直接使わなくても、Claude Codeを使ったパイプライン設計の参考になるでしょう。

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