AI時代の新常識:なぜ優秀な開発者ほど「コードを書かない」のか

AI時代の新常識:なぜ優秀な開発者ほど「コードを書かない」のか AI

最近、Reddit(r/ClaudeAI)で興味深い投稿を見つけました。
ERPシステムの開発で苦労していた開発者が、ある方法で劇的に効率を改善したという内容です。

その投稿とコメントから学んだことを、日本の開発者向けにまとめてみました。

複雑な機能開発で迷子になる問題

投稿者は会社の業務システムを開発していました。

複雑な見積もり機能を作り始めます。
最初は頭の中に完成図がありました。

でも、コードを書いているうちに混乱してきます。
「あれ?今書いているのは商品選択の処理?それとも価格計算?」

3時間後。完全に迷子になっていました。
何を作ろうとしていたのか、自分でも分からない。

そこでClaude Code(AIプログラミング支援ツール)を使ってみました。

使い方はシンプルです。
「見積もりシステムを作って」

これだけ。
AIは言われた通りに動きます。

でも、問題がありました。
設計図がないのです。

AIは部分的なコードを次々に生成します。
商品検索の処理。
価格計算のロジック。
データベースへの保存。

でも、それらがバラバラでした。
つながりがない。

同じような処理が重複している。
修正しようにも、どこを直せばいいか分からない。

典型的なスパゲッティコードの完成です。

CSVファイルによる全体設計という発見

そこで試したのが、CSVファイルで全ファイルの構造を事前に計画する方法です。
投稿者が使用したCSVの構造:

  • Status: TODO/DONEで進捗管理
  • File: ファイル名
  • Priority: 優先度(CRITICAL/HIGH/MEDIUM)
  • Lines: 予想行数
  • Complexity: 複雑度
  • Depends On: 依存関係
  • What It Does: 機能の説明
  • Progress Notes: 実装後の記録(8語以内)

特に注目すべきは「Progress Notes」列です。
3ファイルごとに実装内容を記録することで、計画と実際の差異が明確になります。

具体的な指示がもたらす変化

従来の曖昧な指示から、具体的な指示への変更が鍵でした。

Before:
「ユーザーインターフェースを作って」

After:
「次の3つのTODOファイルを実装して。完了したらStatusを更新し、Progress Notesに記録して」

この変化により、AIは以下のように動作するようになりました:

  1. 焦点を絞ったコード生成
  2. 実装内容の記憶
  3. 進捗の可視化
  4. 段階的な問題解決

コメント欄で共有された高度な手法

Redditのコメント欄では、さらに洗練された方法も共有されていました。

段階的な仕様書作成プロセス

あるユーザーは、以下のプロセスを提案していました:

  1. spec.md作成: AIに一つずつ質問させながら、アイデアを具体化
  2. todo.md作成: 小さなタスクに分解
  3. CLAUDE.md作成: プロジェクト専用の指示書
  4. work-journal.md: 作業ログの記録

このアプローチでは、1時間以上の自動実行も可能になるそうです。

GitHub連携による自動化

GitHub MCPサーバーを使った方法も紹介されていました。
イシューの作成からPR提出まで、一連の流れを自動化できます。

コミット履歴が自然な進捗記録になるという利点もあります。

ソフトウェア設計の再発見

興味深いのは、コメント欄での反応です。
「これってソフトウェア設計の基本では?」という指摘が複数ありました。

確かに、この方法は革新的というより、従来の設計手法をAI時代に適応させたものです。
しかし、それが効果的に機能することに価値があります。

ある開発者は「建設作業員から建築家へ」と表現していました。
設計図さえあれば、AIが実装を担当する。

人間は全体像の把握と方向性の決定に集中できるのです。

実践する際のポイント

投稿とコメントから得られた実践的なアドバイス:

  • 計画に30分かけても、6時間のリファクタリングを避けられる
  • 進捗記録は10語以内に制限すると効果的
  • プロジェクトごとに専用の指示書(CLAUDE.md)を作成
  • テスト駆動開発(TDD)との組み合わせも有効

まとめ

Redditの投稿から学んだのは、AIツールの効果的な活用には明確な設計が不可欠だということです。

CSVによる計画は簡単に始められます。
そして、プロジェクトの規模に応じて、より高度な手法へと発展させることも可能です。

重要なのは、AIを「魔法の杖」として扱うのではなく、優秀なアシスタントとして適切に指示を出すことです。
明確な設計図があれば、AIはその真価を発揮します。

タイトルとURLをコピーしました