AIによる調査機能が進化しています。
そして、その恩恵はニッチな技術分野にも及び始めました。
先日、海外の技術コミュニティRedditで興味深い投稿を見かけました。
組み込みソフトウェア開発者が、Gemini 3のDeep Research機能でマイコン(MCU)を特定したという体験談です。
本記事では、この事例を紹介します。
そして、AIの深層調査機能がもたらす可能性について考察していきます。
組み込み開発者が直面する情報の壁
組み込み開発の世界には、独特の困難があります。
データシートや技術文書が公開されていないマイコンに遭遇することがあるのです。
特に中国製の安価なデバイスは厄介です。
搭載されているMCUの型番を検索しても、何も出てこないケースが珍しくありません。
投稿者は約2年間、ChatGPTとGeminiを併用してきました。
しかし、こうしたMCUの情報を得ようとすると、誤った情報を返されることが多かったそうです。
今回の対象は、AliExpressで販売されているモバイル向けBluetoothゲームパッドでした。
Deep Researchが見つけ出した答え
投稿者はこのゲームパッドのファームウェアをダンプしようと試みました。
そのためには、まず搭載されているMCUを特定する必要があります。
MCUの接写画像を撮影し、製品名とともにChatGPT PlusとGemini Proの両方でDeep Researchを実行しました。
結果は明確に分かれています。
Geminiは「Yichip YC-1021」と回答。
一方、ChatGPTは「Jieli AC6951C」という異なる型番を返しました。
投稿者によれば、Geminiの回答が正解だったとのこと。
Geminiは中国語のドキュメントやScribdなど、複数のソースを横断的に調査してこの結論に至ったようです。
通常モードとDeep Researchの違い
この事例は重要な示唆を含んでいます。
通常の会話モードや思考モードでは得られない精度が、Deep Researchで実現できる場合があるということです。
マイコンには同じシリーズでも複数のバリエーションが存在します。
今回のゲームパッドに搭載されていたMCUにも2つのバリアントがありました。
こうした細かい違いを正確に把握するには、複数の情報源を照合する作業が欠かせません。
通常のAI回答では、この照合作業が十分に行われないことがあります。
その結果、誤った情報を返してしまうわけです。
Deep Researchは、この問題を軽減する可能性を秘めています。
コミュニティからの声:Perplexityという選択肢
この投稿に対して、興味深いコメントも寄せられていました。
あるユーザーは、ChatGPTからGeminiに乗り換えて満足していたそうです。
しかし、Perplexityを試してからは評価が変わりました。
「比較にならない」と述べ、深層調査の分野ではPerplexityが現時点で最も優れているという見解を示しています。
AIの調査機能は各社が競争的に改良を続けている領域です。
今後もツール間の差異は変動していくでしょう。
用途に応じて複数のツールを試してみる価値はありそうです。
まとめ
Gemini 3のDeep Research機能が、データシートの存在しないMCUを正確に特定した事例を紹介しました。
一見すると地味な成果に思えるかもしれません。
しかし、組み込み開発者にとって、「調べても出てこない情報」を掘り起こせるかどうかは重要な問題です。
プロジェクトの成否を左右することもあります。
AIのディープリサーチ機能は、単なる検索の延長ではありません。
複数のソースを横断して情報を検証する能力を持ちつつあります。
ニッチな技術情報を扱う場面では、大きな助けになる可能性があるでしょう。
ただし、注意点もあります。
AIの回答を鵜呑みにするのは危険です。
今回の事例でも、ChatGPTは誤った型番を返しました。
最終的な検証は自分自身で行う姿勢が、依然として重要であることを忘れてはなりません。
