JavaScriptの商標問題が浮き彫りに:プログラミングの未来を左右する戦い

プログラミング言語JavaScriptの商標権を持つOracleに対し、DenoがUSPTOへの商標取り消しを申立てました。その背景や根拠、コミュニティからの反応、そして今後の展望について解説します。JavaScriptの名称の自由な使用を目指す歴史的な挑戦の行方に注目が集まっています。 プログラミング

意外な事実をご存知でしょうか。
プログラミング言語「JavaScript」は、実はOracleの商標なのです。

そして、この事実が今、大きな議論を巻き起こしています。

商標登録の衝撃的事実

JavaScriptは、多くの開発者にとって単なるプログラミング言語の名称だと思われています。
しかし、この名称はOracleの商標であり、その使用には法的な制限が存在するのです。

このため、多くのカンファレンスは「JSConf」という代替名称を使わざるを得ません。
また、プログラミング言語の仕様書でさえ「ECMAScript」という別名を使用しているのです。

Denoによる歴史的な挑戦

Deno v. Oracle: Canceling the JavaScript Trademark
Oracle is holding the JavaScript trademark hostage, and we’re pursuing legal means to #FreeJavaScript. Here’s a brief update.

2024年11月22日、状況を大きく変える動きが起こりました。
Node.jsの生みの親であるRyan Dahl氏が創設したDenoが、米国特許商標庁(USPTO)に商標の取り消しを求めたのです。

Denoは、セキュリティを重視した新しいJavaScript/TypeScript実行環境として知られています。
そして、この申立ては、JavaScriptという名称をコミュニティに取り戻すための重要な一歩となっています。

取り消しを求める根拠

Denoの申立ては、3つの主張に基づいています。

まず、JavaScriptはすでに一般名称化しているという点です。
世界中の開発者が日常的に使用する用語となっており、特定企業の商標としては機能していません。

次に、2019年の商標更新における重大な問題があります。
Oracleは自社とは無関係のNode.jsのスクリーンショットを証拠として提出したのです。
これは商標法上の重大な違反となる可能性が高いでしょう。

さらに、実質的な商標の放棄という問題があります。
JavaScript Extension ToolkitやGraalVMといった製品は存在します。
しかし、これらは商標の実質的な使用とは見なせないという指摘が出ています。

コミュニティからの圧倒的支持

この動きは、プログラミングコミュニティから大きな支持を集めています。

JavaScriptの生みの親であるBrendan Eich氏も賛同の意を示しました。
そして、14,000人以上の開発者がすでに商標解放を求めるオープンレターに署名しています。

今後の展開と期待

Oracleには2025年1月4日までの応答期限が設けられています。
もし応答がなければ、商標が取り消される可能性が高くなるでしょう。

ただし、Oracle側が異議を唱えた場合は、法的な争いに発展する可能性も残されています。

Denoはこの手続きの全過程をコミュニティと共有することを約束しました。
そして、この取り組みが成功すれば、JavaScriptという名称は言語そのものと同様にオープンなものとなるはずです。

本件は、プログラミング言語の名称が持つ意味について、私たちに重要な問いを投げかけています。
また、知的財産権の在り方についても、深い議論を促すきっかけとなるでしょう。

開発者コミュニティは、この歴史的な挑戦の行方を固唾を呑んで見守っています。

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