Laravelは、バックエンドフレームワークです。
そして、現代のWebアプリケーションを構築するために必要な以下機能を提供します。
- ルーティング
- バリデーション
- キャッシュ
- キュー
- ファイルストレージ
しかし、アプリケーションのフロントエンドについても考慮されています。
Laravelでアプリケーションを構築する際、フロントエンド開発に取り組む主な方法は二つあります。
- PHPの利用
- JavaScriptフレームワーク(Vue・React)の利用
これらを以下で説明していきます。
最後に、「アセットのバンドル」についても記載しています。
PHPの利用
PHPベースでの開発の場合、以下のキーワードがポイントになります。
- PHP & Blade
- Livewire
- Starter Kits
それぞれを以下で説明します。
PHP & Blade
次のようなコードに見覚えはありませんか?
<div>
<?php foreach ($users as $user): ?>
Hello, <?php echo $user->name; ?> <br />
<?php endforeach; ?>
</div>
HTMLタグの中にPHPのコードが混入しているヤツです。
このHTMLレンダリングアプローチが、LaravelにおいてはビューとBladeを使用して実現できます。
<div>
@foreach ($users as $user)
Hello, {{ $user->name }} <br />
@endforeach
</div>
Bladeは、非常に軽量なテンプレート言語です。
データの表示、データの反復処理などに便利で短い構文を提供します。
Bladeは、SmartyやTwigの仲間だと考えれば理解しやすいかもしれません。
Livewire
Laravel Livewireは、動的でモダンなフロントエンドをLaravelで構築するためのフレームワークです。
PHPのみでVueやReactのようなJavaScriptフレームワークの機能を実現します。
もう少し説明すると、開発者はPHPのみでコーディングができます。
裏ではLivewireにより、JavaScriptが自動的に生成されていると考えればイメージしやすいでしょう。
実際のコードを見れば、もっとイメージができるはずです。
例えば、シンプルなカウンター機能のコードを見てみましょう。
まず、カウンター機能用のコンポーネントと言うモノを用意します。
<?php
namespace App\Http\Livewire;
use Livewire\Component;
class Counter extends Component
{
public $count = 0;
public function increment()
{
$this->count++;
}
public function render()
{
return view('livewire.counter');
}
}
そして、その機能のコンポーネントに対応するテンプレートは次のように書かれます。
Livewireの利用では、Bladeを用いるのが前提となります。
<div>
<button wire:click="increment">+</button>
<h1>{{ $count }}</h1>
</div>
Livewireにより、「wire:click」というHTML属性を書くことを可能になっています。
これにより、Laravelアプリケーションのフロントエンドとバックエンドを接続します。
多くの人にとって、LivewireはLaravelでのフロントエンド開発を革命的に変えました。
これにより、Laravelの快適な環境内でモダンで動的なウェブアプリケーションを構築できるようになります。
なお、Alpine.jsを用いれば独自にJavaScriptをコーディングすることが可能です。
Starter Kits
Starter Kitsは、PHPとLivewireによるフロントエンド開発を支援します。
具体的には、アプリケーションにとって欠かせない認証フローの部分が主な対象となります。
Starter Kitsでは、ユーザー登録を含む認証機能の部分を丸ごと用意してくれているということです。
バックエンドとフロントエンドを両方を含んでいます。
公式では、以下の二つのStarter Kitsが記載されています。
- Jetstream
- Breeze
Breezeは、Jetstreamの簡易版と言えるようです。
JavaScriptフレームワーク(Vue・React)の利用
LaravelとLivewireにより、モダンなフロントエンドを構築することが可能です。
それでも、VueやReactのようなJavaScriptフレームワークを利用する開発者は多くいます。
しかし、LaravelとVueやReactを組み合わせるのは決して簡単なことではありません。
クライアントサイドにおける以下のような複雑な問題を解決する必要が生じます。
- ルーティング
- データハイドレーション(データの受け渡し)
- 認証
さらに、開発者は二つの別々のコードリポジトリを維持する必要が出てきます。
しばしば、両方のリポジトリにわたるメンテナンス、リリース、デプロイメントを調整する必要があります。
これらの問題を解決する手段がLaravelには用意されています。
それが、Inertiaです。
Inertiaは、LaravelアプリケーションとモダンなVueまたはReactフロントエンドの間のギャップを埋めます。
VueやReactを使用して完全に機能するモダンなフロントエンドを構築しながら、
ルーティング、データハイドレーション、認証にLaravelのルートとコントローラーを利用できるようになります。
LaravelアプリケーションにInertiaをインストールした後、通常通りルートとコントローラーを書きます。
しかし、コントローラーからBladeテンプレートを返す代わりに、Inertiaページを返します。
<?php
namespace App\Http\Controllers;
use App\Http\Controllers\Controller;
use App\Models\User;
use Inertia\Inertia;
use Inertia\Response;
class UserController extends Controller
{
/**
* Show the profile for a given user.
*/
public function show(string $id): Response
{
return Inertia::render('Users/Profile', [
'user' => User::findOrFail($id)
]);
}
}
コントローラー内でInertia::renderメソッドを使い、レンダリングするVue/Reactのコンポーネントを指定します。
その指定されたコンポーネントは、resources/js/Pagesディレクトリ内に保存されます。
<script setup>
import Layout from '@/Layouts/Authenticated.vue';
import { Head } from '@inertiajs/vue3';
const props = defineProps(['user']);
</script>
<template>
<Head title="User Profile" />
<Layout>
<template #header>
<h2 class="font-semibold text-xl text-gray-800 leading-tight">
Profile
</h2>
</template>
<div class="py-12">
Hello, {{ user.name }}
</div>
</Layout>
</template>
「resources」ディレクトリについては、次の記事内で説明しています。
Inertia::renderに渡されたデータ(第二引数のデータ)が、レンダリングするコンポーネントのpropsとして渡されます。
PHP(コントローラー)では、「’user’ => User::findOrFail($id)」部分ですね。
Inertiaを利用することで、以下のことが実現できます。
- VueやReactの機能をフル活用
- バックエンドとフロントエンドの連携をスムーズに
- データ受け渡しを簡単に実装
要するに、Inertiaはバックエンドとフロントエンドの架け橋となります。
Laravelという強力なバックエンドと、Vue/Reactというインタラクティブなフロントエンドの特徴を両立できる、ということです。
フロントエンドの機能とバックエンドの機能を最大限活用しつつ、
データのやり取りをシンプルに書けるのがInertiaの大きなメリットです。
アセットのバンドル
Laravelにおけるフロントエンド開発には、以下のパターンがあります。
- BladeとLivewire(PHPの利用)
- Vue / ReactとInertia(JavaScriptフレームワークの利用)
いずれの場合でも、本番公開時にはCSSやJavaScriptアセットをバンドル(結合・最小化)する必要があります。
Laravelでは、デフォルトでViteというビルドツールが採用されています。
Viteを使うメリットはアセットのビルドが高速で、開発中はホットリロードによる即時反映が可能なことです。
なお、Starter KitsのBreezeにはViteが含まれています。


