この記事では、Ubuntu 21.04に最新版Nginxをインストールする方法を解説しています。
Ubuntu 20.04の場合は、次の記事をご覧ください。
本記事の内容
- OS標準のNginx
- リポジトリ情報の確認
- リポジトリの追加
- パッケージ更新
- インストール
それでは、上記に沿って解説していきます。
OS標準のNginx
Ubuntuには、OS標準のソフトウェアが存在しています。
Nginxのような人気ソフトウェアであれば、ほぼ確実にOS標準が存在します。
マイナーなソフトウェアであれば、OS標準のモノは存在しないこともあります。
ただ、このあたりの基準はよくわかりません。
では、Ubuntu 21.04におけるOS標準であるNginxを確認してみましょう。
利用しているのは、以下のOSです。
$ cat /etc/lsb-release DISTRIB_ID=Ubuntu DISTRIB_RELEASE=21.04 DISTRIB_CODENAME=hirsute DISTRIB_DESCRIPTION="Ubuntu 21.04"
上記OSにおけるOS標準であるNginxは、以下となります。
$ sudo apt info nginx Package: nginx Version: 1.18.0-6ubuntu8.2 Priority: optional Section: web Origin: Ubuntu Maintainer: Ubuntu Developers <ubuntu-devel-discuss@lists.ubuntu.com> Original-Maintainer: Debian Nginx Maintainers <pkg-nginx-maintainers@alioth-lists.debian.net> Bugs: https://bugs.launchpad.net/ubuntu/+filebug Installed-Size: 49.2 kB Depends: nginx-core (<< 1.18.0-6ubuntu8.2.1~) | nginx-full (<< 1.18.0-6ubuntu8.2.1~) | nginx-light (<< 1.18.0-6ubuntu8.2.1~) | nginx-extras (<< 1.18.0-6ubuntu8.2.1~), nginx-core (>= 1.18.0-6ubuntu8.2) | nginx-full (>= 1.18.0-6ubuntu8.2) | nginx-light (>= 1.18.0-6ubuntu8.2) | nginx-extras (>= 1.18.0-6ubuntu8.2) Breaks: libnginx-mod-http-lua (<< 1.18.0-6ubuntu5) Homepage: https://nginx.net Download-Size: 3,968 B APT-Sources: http://archive.ubuntu.com/ubuntu hirsute-updates/main amd64 Packages Description: 小さくて強力で拡張性のあるウェブ/プロキシサーバ Nginx ("engine X") は Igor Sysoev によって作成された高性能ウェブおよび リバースプロキシサーバです。スタンドアロンのウェブサーバとしても バックエンドの HTTP やメールサーバへの負荷を減らすためのプロキシとしても 使えます。 . This is a dependency package to install either nginx-core (by default), nginx-full, nginx-light or nginx-extras.
Versionを確認します。
1.18.0と表示されていますね。
Nginx 1.18.0は、2020年4月21日にリリースされています。
Ubuntu 21.04のOS標準であるNginxは、バージョンが上がっていると思い込んでいました
でも、Ubuntu 20.04と同じNginxのバージョンを使わないといけない状態です。
なお、現時点(2021年8月末)でのNginxの最新バージョンは1.21.1です。
以下は、最新の二つのバージョンとなります。
Nginxバージョン | リリース日 |
1.21.1 | 2021年7月6日 |
1.20.1 | 2021年5月25日 |
これを見ると、タイミングが悪かったかもしれません。
Ubuntu 21.04は、2021年4月末にリリースされています。
Ubuntu 21.04リリース時点では、まだNginxの新しいバージョンは公開されていません。
それであれば、OS標準のNginxも古くなってしまいます。
Ubuntu 21.04においては、有無を言わさずに新しいNginxをインストールしないといけませんね。
そのための手順を以下で説明していきます。
リポジトリ情報の確認
大前提として、Ngnixがリポジトリを用意していることが条件となります。
そして、Ngnixの公式では以下のようにリポジトリ情報が記載されています。
## Replace $release with your corresponding Ubuntu release. deb https://nginx.org/packages/ubuntu/ $release nginx deb-src https://nginx.org/packages/ubuntu/ $release nginx
「$release」には、Ubuntuのリリース名を設定することになります。
Ubuntuのリリース名は、以下のコマンドで確認できます。
先ほどOSを確認する際に、利用したコマンドです。
$ cat /etc/lsb-release DISTRIB_ID=Ubuntu DISTRIB_RELEASE=21.04 DISTRIB_CODENAME=hirsute DISTRIB_DESCRIPTION="Ubuntu 21.04"
上記結果より、Ubuntu 21.04のリリース名は「hirsute」だと確認できます。
したがって、リポジトリ情報は以下のようになります。
deb https://nginx.org/packages/ubuntu/ hirsute nginx deb-src https://nginx.org/packages/ubuntu/ hirsute nginx
これが、Ubuntu 21.04を対象としたNginxのリポジトリ情報です。
リポジトリの追加
リポジトリの追加には、以下の2つの方法があります。
- /etc/apt/sources.listに追記
- /etc/apt/sources.list.dにファイルを設置
今回は、「/etc/apt/sources.list.dにファイルを設置」を採用。
/etc/apt/sources.list.dにnginx.listを作成します。
nginx.listには、リポジトリ情報を入力するだけです。
/etc/apt/sources.list.d/nginx.list
deb https://nginx.org/packages/ubuntu/ hirsute nginx deb-src https://nginx.org/packages/ubuntu/ hirsute nginx
ファイル作成の際は、権限に注意してください。
そもそも、sudoコマンド以外でファイル作成できないはずです。
ちなみに、私は以下のコマンドでファイルを新規作成しています。
viよりもnanoの方を個人的には使っています。
sudo nano /etc/apt/sources.list.d/nginx.list
パッケージ更新
追加したリポジトリを反映させます。
リポジトリを追加したら、呪文のように唱えましょう。
sudo apt update
通常、次のようなGPGエラーが出ます。
W: GPG エラー: https://nginx.org/packages/ubuntu hirsute InRelease: 公開鍵を利用できないため、以下の署名は検証できませんでした: NO_PUBKEY ABF5BD827BD9BF62 E: リポジトリ https://nginx.org/packages/ubuntu hirsute InRelease は署名されていません。 N: このようなリポジトリから更新を安全に行うことができないので、デフォルトでは更新が無効になっています。 N: リポジトリの作成とユーザ設定の詳細は、apt-secure(8) man ページを参照してください。
追加したNginxのリポジトリが、パッケージ管理ツール(apt)では信用できないということです。
そのため、信用できるリポジトリであることをaptに教える必要があります。
教えるためには、以下のコマンドを利用します。
sudo apt-key adv --keyserver keyserver.ubuntu.com --recv-keys $key
「$key」には、エラーで出ている「ABF5BD827BD9BF62」を設定します。
ドメイン単位(nginx.org)で同じだと思われます。
コマンドを実行した結果は、下記となります。
$ sudo apt-key adv --keyserver keyserver.ubuntu.com --recv-keys ABF5BD827BD9BF62 Warning: apt-key is deprecated. Manage keyring files in trusted.gpg.d instead (see apt-key(8)). Executing: /tmp/apt-key-gpghome.Ea2KeVGZ8P/gpg.1.sh --keyserver keyserver.ubuntu.com --recv-keys ABF5BD827BD9BF62 gpg: 鍵ABF5BD827BD9BF62: 公開鍵"nginx signing key <signing-key@nginx.com>"をインポートしました gpg: 処理数の合計: 1 gpg: インポート: 1
では、再度パッケージを更新しましょう。
sudo apt update
今回は、エラーも出ずに完了しました。
これにより、aptにも最新のNginxが認識されたはずです。
$ sudo apt info nginx Package: nginx Version: 1.20.1-1~hirsute Priority: optional Section: httpd Maintainer: NGINX Packaging <nginx-packaging@f5.com> Installed-Size: 3,237 kB Provides: httpd, nginx, nginx-r1.20.1 Depends: libc6 (>= 2.33), libcrypt1 (>= 1:4.1.0), libpcre3, libssl1.1 (>= 1.1.1), zlib1g (>= 1:1.1.4), lsb-base (>= 3.0-6), adduser Conflicts: nginx-common, nginx-core Replaces: nginx-common, nginx-core Homepage: https://nginx.org Download-Size: 920 kB APT-Sources: https://nginx.org/packages/ubuntu hirsute/nginx amd64 Packages Description: high performance web server nginx [engine x] is an HTTP and reverse proxy server, as well as a mail proxy server.
Nginx 1.20.1が、認識できています。
最新版の1.21.1がリポジトリには、まだ用意されていないのでしょう。
これは、Ubuntu 20.04 LTSと同じ状況です。
パッケージ反映のタイミング次第では、最新版になるはずです。
今回は、1つ前のバージョンですが良しとしましょう。
それでも、OS標準よりは1年以上後にリリースされたバージョンになります。
これで、aptで簡単にインストールできる準備が整いました。
インストール
ここまで来たら、あとはもう簡単です。
次のコマンドでNgnixのインストールを行います。
sudo apt install nginx
以下のように表示されれば、Ngnixのインストールは成功です。
nginx (1.20.1-1~hirsute) を展開しています... nginx (1.20.1-1~hirsute) を設定しています ... Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/nginx.service → /lib/systemd/system/nginx.service. man-db (2.9.4-2) のトリガを処理しています ... Scanning processes... Scanning linux images... Running kernel seems to be up-to-date. No services need to be restarted. No containers need to be restarted. No user sessions are running outdated binaries.
インストール後にNginxは、自動起動されません。
Nginxの状況を確認すると、次の結果です。
$ sudo systemctl status nginx ● nginx.service - nginx - high performance web server Loaded: loaded (/lib/systemd/system/nginx.service; enabled; vendor preset: enabled) Active: inactive (dead) Docs: https://nginx.org/en/docs/
そのため、Nginxを次のコマンドで起動します。
sudo systemctl start nginx
起動したどうかの確認を行います。
$ sudo systemctl status nginx ● nginx.service - nginx - high performance web server Loaded: loaded (/lib/systemd/system/nginx.service; enabled; vendor preset: enabled) Active: active (running) since Sun 2021-09-05 16:49:46 JST; 9s ago Docs: https://nginx.org/en/docs/ Process: 4721 ExecStart=/usr/sbin/nginx -c /etc/nginx/nginx.conf (code=exited, status=0/SUCCESS) Main PID: 4722 (nginx) Tasks: 3 (limit: 9499) Memory: 2.4M CGroup: /system.slice/nginx.service ├─4722 nginx: master process /usr/sbin/nginx -c /etc/nginx/nginx.conf ├─4723 nginx: worker process └─4724 nginx: worker process 9月 05 16:49:46 ubuntu-hirsute systemd[1]: Starting nginx - high performance web server... 9月 05 16:49:46 ubuntu-hirsute systemd[1]: Started nginx - high performance web server.
問題なく、Nginxが起動されていますね。