IT業界における働き方の多様化が、急速に進んでいます。
今回は、Findyが公開した最新の調査資料をもとに、エンジニアの働き方の実態をお伝えします。
この調査資料は、Findyの会員ユーザー681名から得られた回答をまとめたものです。
なお、Findyは技術力の可視化とキャリア支援を行うプラットフォームです。
そのため、回答者は比較的技術力の高いエンジニアや、キャリア意識の高いエンジニアが中心となっている可能性があります。
回答者の属性
調査における回答者の内訳は以下の通りです。
- 正社員・契約社員(Web系企業):47.9%
- 正社員・契約社員(SIer/受託企業):20.7%
- フリーランス:14.7%
- その他:16.7%
特にWeb系企業所属のエンジニアが約半数を占めています。
したがって、従来型の企業よりも先進的な働き方を採用している企業に所属するエンジニアの声が強く反映されていると考えられます。
リモートワークの現状分析
現在のエンジニアの勤務形態は、次のような分布を示しています。
- フルリモート:53.6%
- 週1-2日程度出社:24.0%
- 週3-4日程度出社:9.8%
- 週5日でオフィス出社:7.0%
- その他:5.6%
この数字は、前回調査(2024年1月)のフルリモート52.4%と比較してほぼ横ばいです。
つまり、リモートワークが一時的な対応ではなく、新しい標準として定着していることを示唆しています。
もっと大がかりな調査の結果としては、以下があります。
これは、フルリモートの数字ではなくハイブリッドも含みます。
でも、エンジニアの2人に1人はリモートワークができる環境にあると言えますね。
企業規模別の実態
企業規模によって、働き方や待遇に興味深い違いが見られます。
スタートアップ企業(正社員・契約社員)の平均年収
- シード・アーリー期:657.1万円
- シリーズA:701.5万円
- シリーズB:704.1万円
- シリーズC以降:712.7万円
大手企業(正社員・契約社員)の平均年収
- 上場ベンチャー:753.8万円
- 大企業(従業員1万人以上):766.0万円
- SI/SES:540万円
スタートアップ企業の給与は全般的に上昇傾向にあります。
一方で、大企業では若干の減少が見られます。
リモートワークと転職意向
現在の勤務先でリモートワークの頻度が減少した場合、以下のような意向が示されています。
- 年収維持が条件で転職を検討:45.5%
- 年収減少も受入れて転職を検討:18.5%
- 年収維持が条件でフリーランス転向を検討:4.4%
- 年収減少も受入れてフリーランス転向を検討:3.1%
- 現状の会社で働き続ける:28.5%
特に注目すべき点があります。
現在フルリモートで働いているエンジニアは、出社方針の変更に対してより強い抵抗感を示す傾向にあります。
転職時の重視項目
転職を検討する際の重要項目として、以下が上位に挙げられています。
- リモートやフレックスなどの働き方:78.1%
- 技術・開発環境への理解・投資:71.4%
- 事業やプロダクトの将来性:68.9%
この結果から、柔軟な働き方の提供が企業の人材獲得において重要な要素となっていることが分かります。
技術スタックと年収の相関
使用している技術によって、年収に差が見られます。
- Go言語:804.9万円
- Dart:754.0万円
- Python(Web系):727.8万円
- Ruby:721.1万円
- TypeScript:709.7万円
これらの高給与言語を使用する企業は、比較的リモートワークに積極的な傾向があります。
特に注目すべきは、Dartの高給与です。
これはFlutterフレームワークによるモバイルアプリ開発需要の高まりを反映していると考えられます。
なお、Dart(Flutter)の使用率は全体の3.7%と比較的少数ですが、高い年収水準を示しています。
今後の課題
調査結果から、以下のような課題が浮かび上がってきています。
リモートワーク体制の確立
- 評価制度の整備が必要です
- コミュニケーション手法の最適化が求められます
- セキュリティ対策の強化が重要です
給与水準の維持・向上
- スタートアップと大企業の競争が激化しています
- 技術スタックによる給与差が拡大しています
人材流出リスクへの対応
- リモートワーク制度の見直しが必要です
- 柔軟な働き方の提供が求められています
- 技術投資の継続が重要です
まとめ
この調査資料は、Findyの会員ユーザーを対象としたものです。
そのため、必ずしもIT業界全体の平均的な状況を示すものではありません。
しかし、業界の先進的な動向を示す指標として、大変参考になる内容といえるでしょう。
特に、リモートワークが働き方の新しいスタンダードとして定着しつつある傾向は明確です。
企業には、柔軟な働き方の提供とそれを支える体制の整備が求められています。
そして、これらの取り組みが人材の確保・維持において、ますます重要になっていくと考えられます。