デジタルメディア業界に大きな衝撃が走っています。
大手メディアのForbesが、製品レビューセクションのフリーランスライターとの契約を無期限で打ち切ると発表したのです。
この背景には、Googleによる「サイト評判の乱用(寄生的SEO)」への規制強化があります。
寄生的SEOの実態
寄生的SEOとは、有名サイトの信頼性とドメインパワーを借りて、不自然なトラフィックを集める手法です。
その典型例が、ニュースサイトの「クーポンコードセクション」です。
このようなコンテンツには、明確な特徴があります。
まず、ホームページからは見つけにくい場所に配置されています。
そして、Google検索からのみアクセス可能な構造になっています。
さらに、サイトの本来の専門性とはかけ離れた内容を扱っています。
実際の例としては、次のようなモノがあります。
ニュースサイトに突然、大量の製品レビューが掲載されるのです。
また、教育サイトに金融商品の紹介ページが現れることもあります。
このようなコンテンツは、多くの場合、外部のマーケティング会社によって大量生産されています。
Forbesが直面した問題
Forbesのコンテンツは、主に3つの層で構成されています。
- 正規の記者による報道記事
- マーケターや企業幹部による「コントリビューターネットワーク」
- 製品レビューセクション「Forbes Vetted」
特に「Forbes Vetted」は、高品質なレビュー記事を提供してきました。
フリーランスライターは実際に製品をテストし、専門家へのインタビューも行います。
そして、一本あたり3,000ドル(約45万円)という破格の報酬で、質の高いコンテンツを生み出してきたのです。
しかし、Googleの新方針により、このセクション自体が「寄生的」とみなされる可能性が出てきました。
なぜなら、Forbesの本来のジャーナリズムとしての評判を利用して、商品レビューのSEO効果を得ているとも解釈できるためです。
業界全体への影響
この問題は、デジタルメディア全体に深刻な課題を投げかけています。
多くのメディアサイトが、本来のコンテンツとは異なる性質の記事で収益を上げてきたからです。
例えば以下のようなケースが、今後問題視される可能性があります。
- ニュースサイトの中の大量の製品レビューページ
- 企業サイトにある、本業と無関係な情報コンテンツ
- 教育サイトに掲載される商業的な記事
今後の課題
メディア業界は今、大きな岐路に立たされています。
質の高いコンテンツを提供しながら、収益も確保していく必要があるのです。
特に重要なのは、フリーランスライターの活躍の場を確保する方法です。
そして、コンテンツの品質と検索エンジンの要求のバランスをどう取るかという問題もあります。
この課題への対応が、各メディアの今後の生き残りを左右することになるでしょう。
そして、デジタルメディアの新しいビジネスモデルの構築が求められています。