たった一人で「GTA 6」を作る。
そんな無謀にも思える挑戦を続けている開発者がいます。
投稿タイトルは「Day 37 of building GTA 6 using claude」。
つまり、Claudeを使ったゲーム開発の37日目の報告でした。
この投稿には、160件を超えるコメントが付いています。
そして、賞賛と批判が入り乱れる議論になりました。
本記事では、投稿の内容を整理します。
さらに、そこから読み取れるAI開発の現在地についても考えていきましょう。
どんなゲームなのか
開発者が作っているのは、ボクセルスタイルのGTA Onlineクローンです。
特徴は「世界が眠らない」こと。
NPCはすべて、AIエージェントとして動いています。
そして最大の売りは、プレイヤー自身がプロンプトで世界を作れる点です。
車が欲しければ、プロンプトで車を作る。
建物も武器も同じです。
まさに、AI時代のサンドボックスと言えるでしょう。
37日目の週の更新内容は、次のとおりです。
- マップの大幅な拡張
- 警察AIの改善
- 新クエストの追加(麻薬の売買まで含まれる)
さらに、復活したFableを使った開発も始めたそうです。
ゲームは無料で公開されています。
しかも、プレイヤー側にClaudeのアカウントは不要とのこと。
ただし、課題もあります。
マップが大きくなった影響で、高設定ではラグが発生しているそうです。
この点は、開発者本人も「対応中」と認めていました。
技術的な裏側
コメント欄には、技術面の質問が数多く寄せられました。
開発者の回答から見えてきた構成を紹介します。
アセットは、FableやOpusがその場で生成しています。
つまり、事前に用意したものを並べているわけではありません。
開発者は独自のパイプラインを構築しました。
そのうえで、プレイ中にリアルタイムで生成させているそうです。
Fableの利用割合を聞かれた際には、「プロジェクトの10〜15%程度」と答えていました。
すべてをAIに丸投げしているわけではない、という点は注目に値します。
サーバーは、fly.io上で稼働しています。
サーバー代自体は、大した額ではないとのこと。
しかし、生成コストが重いそうです。
トークンをいくら使ったか聞かれた開発者の答えは、「使いすぎた」の一言でした。
このコスト問題に対して、あるコメントが有益な提案をしています。
類似した生成リクエストをキャッシュする方法です。
例えば、誰かが「F1カー」を生成済みだったとします。
その場合、次に同じプロンプトが来たときは保存済みデータを返す。
そして、「黄色いF1カー」のように差分がある場合だけ、新規生成すればいい。
面白いことに、開発者はこの仕組みをすでに実装済みでした。
生成AIをゲームに組み込むなら、この手のキャッシュ戦略は必須になりそうです。
収益化の方針
トークン代をどう回収するのか。
この点も、議論になりました。
開発者の方針は明確です。
Fortniteと同じく、見た目だけのコスメティックアイテムを販売する。
ただし、ゲームの進行に影響する要素は一切売らない。
Pay to Winには絶対にしない、と繰り返し強調していました。
課金を強制せず、ゲームが本当に面白くなってから収益化する。
この方針に対しては、コメント欄からも好意的な反応がありました。
「スロップウェア」批判との向き合い方
一方で、批判も容赦ありませんでした。
「スロップウェア(slopware)」「トークンの無駄」「金をもらってもプレイしない」。
こうした辛辣なコメントが並びます。
ここで興味深いのは、開発者の対応です。
感情的に言い返すことはしません。
その代わりに、批判者へ一貫してこう返していました。
「フィードバックをありがとう。具体的にどこが気に入らなかったのか教えてほしい」と。
すると、何が起きたか。
「ひどい見た目だ」と書き込んだ批判者の一人が、実際にゲームをプレイしました。
そして態度を変え、具体的なフィードバックを送ってきたのです。
しかも、きつい言い方をしたことへの謝罪付きでした。
その内容は的確です。
- UIがいかにも「vibe coding」で作った見た目になっている
- ボクセルの造形に個性がない
- スケールのおかしいF1カーを見せるのは逆効果
- 音声が安っぽいモバイルゲームのように聞こえる
罵倒が、具体的で実行可能な改善点のリストに変わった瞬間です。
批判に対して防御的にならず、質問で返す。
このコミュニケーション術は、あなたも真似できるはずです。
設計面での指摘
もう一つ、開発者にとって耳の痛い指摘がありました。
設計に関するものです。
あるコメントは、ゲームの多くの機能が未完成に感じられると述べています。
このまま機能を追加し続ければ、新しいバグが次々と生まれる。
また、コードベースが育つほど複雑性は跳ね上がります。
設計が不適切なら、一箇所の修正が別の場所を壊す事態にもなりかねません。
だからこそ、機能を分離して、アーキテクチャの視点で先を見据えた設計が必要だ。
コメントの趣旨は、このようなものでした。
これはAI開発に限らない、ソフトウェア開発の普遍的な課題です。
AIで開発速度が上がるほど、設計の負債も高速で積み上がります。
「何がゲームなのか分からない」という指摘もありました。
これに対して、開発者はゲームループを説明しています。
麻薬ディーラーとしてNPCと関係を築き、自分の商売を育てる。
あるいは、クエストをこなす。
友達とただ暴れ回るのもいい。
GTA Onlineのような自由度の高いサンドボックス、というのが開発者の描く姿です。
この投稿から学べること
37日間、毎日開発を続けて公開する。
それだけでも、大半の人にはできません。
コメント欄でも「多くの人は3日で挫折する」という声がありました。
しかし、それ以上に学びが多いのは開発者の姿勢です。
批判を具体的なフィードバックに変換する質問力。
生成コストをキャッシュで抑える設計。
Pay to Winを避ける収益化方針。
どれも、あなたがAIを使って何かを作るときに応用できる考え方でしょう。
まとめ
Redditで話題になった「Claudeで作るGTA 6」の37日目を紹介しました。
ボクセルスタイルのオンラインゲームで、プレイヤーはプロンプトで車や建物を生成できます。
アセットは、FableやOpusがリアルタイムで生成する仕組みです。
そして、生成コストはキャッシュ戦略で抑えています。
賞賛と「スロップウェア」批判が入り乱れる中、開発者は批判者に具体的な指摘を求め続けました。
その結果、罵倒の一部が有益なフィードバックに変わっています。
AIによる個人ゲーム開発は、まだ粗削りです。
ラグもバグもあります。
それでも、一人の開発者が37日でここまで作れる時代になりました。
この流れが今後どこまで進むのか。
引き続き、注目していきましょう。
